2025年02月15日

新 謎解きはディナーのあとで

まずはAmazonさんの紹介ページから。

ど天然な新米刑事が加わり、新章始動!

本屋大賞第1位&大ヒットシリーズの国民的ユーモアミステリ、待望の新章スタート!!
宝生麗子の後輩にど天然な新米刑事・若宮愛里が加わり、警視庁に栄転した風祭警部は大きなミスを犯して国立署に舞い戻り、
新たなメンバーで難事件に挑む。
富豪の家で”無人だった”はずの部屋から発見された長男の首吊り死体の謎とは?(「風祭警部の帰還」)
鍵のかかった土蔵で見つかった骨董好きの老人の遺体と血文字のダイイング・メッセージの謎、
シェアハウスで殺された看護師と5つの目覚まし時計の謎……
執事探偵・影山の推理と毒舌が冴えわたる、本格ミステリ全5編。

非現実的なトリックも、驚天動地の真相も、
「なるほど!」と納得してしまう。
これこそが東川さんの作品の持つ、ユーモアの力である。
――解説 今村昌弘(作家)

文庫版特典として、ショートショート「若宮刑事に倫理観はあるのか?」を収録!

シリーズも新たなレギュラーと出戻りレギュラー(笑)を迎えての、開幕。

「血文字は密室の中」、本格ミステリド定番の密室を最初(「風祭警部の帰還」は置いといて・笑)に
もってくるのは、流石だなあと。というか密室ミステリを最近読んだんですよね。
密室というのは、やはりわくわくしますね。心理的な密室、物理的な密室、
これからも様々な密室が登場してくるのでしょう。

「五つの目覚まし時計」、アリバイをメインとしたミステリです。
目覚ましの設定された時刻からの謎解きが中々です。

しかしアリバイトリックと事実誤認を用いたトリックとして、
最も秀逸なのは「煙草二本分のアリバイ」でしょうね。

影山が推理した「太った男」の正体は、実に見事かつ慧眼で、素晴らしい推理です。
証言した人々は、別に噓をついてはいないのに、ある事実誤認により、大きく話が変わってしまっていたのですね。

次作以降は若宮刑事の大活躍も描かれると期待しつつ。

新 謎解きはディナーのあとで - 東川 篤哉
新 謎解きはディナーのあとで - 東川 篤哉
新 謎解きはディナーのあとで [ 東川 篤哉 ] - 楽天ブックス
新 謎解きはディナーのあとで [ 東川 篤哉 ] - 楽天ブックス
posted by コースケ at 23:03| Comment(0) | 東川篤哉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年02月01日

その女の名は魔女 怪異名所巡り 2

まずはAmazonさんの紹介ページから。

幽霊に会えるバスツアーが戻って来た!
バスツアーに添乗するたびに、謎と怪奇に遭遇! 幽霊と呪いにめっぽう強く、正義感あふれる人情家――
“霊感バスガイド”町田藍が大活躍。人気のユーモア・ホラー・ミステリー第2弾。(解説/新保博久)

こちらのシリーズ、文庫本化したものは全て購入しているのですが、
積読本が増えすぎて、中々こちらは読み進まず(苦笑)

「1/24秒の悪魔」は、最後に明かされるフィルムの内容が恐怖ですね。
幽霊である信子さんが、時折土蔵に出てくれるのを「退屈しのぎになるわ」と承諾するのは、さすが赤川先生。
すずめバスとしては、鉄板を手に入れることになりましたね(笑

「奈落は今日も雪が降る」でも、町田藍は幽霊の矢田とたまに出てくれと交渉し、締結しています(笑)
いや、見事な営業活動。

「迷子になった弾丸」、よくこんな奇想天外な話を書けるなとまず驚きました。
弾丸が迷子(時空を超えた理由)は一切書かれず、過去の罪の清算のためなのでしょうか。

表題作は、現代社会とは思えない内容の話ですね。
村の人々は因果応報でしょう。

「予告編の人生」は、最後のハッピーエンドが赤川先生らしい。

次作以降も楽しみです。

その女の名は魔女 怪異名所巡り 2 (集英社文庫) - 赤川 次郎
その女の名は魔女 怪異名所巡り 2 (集英社文庫) - 赤川 次郎

その女の名は魔女 怪異名所巡り 2 (集英社文庫(日本)) [ 赤川 次郎 ] - 楽天ブックス
その女の名は魔女 怪異名所巡り 2 (集英社文庫(日本)) [ 赤川 次郎 ] - 楽天ブックス

posted by コースケ at 19:33| Comment(0) | 赤川次郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月21日

コージーボーイズ、あるいは消えた居酒屋の謎

まずはAmazonさんの紹介ページから。

昨日行った居酒屋が消えた? 引き出しのお金が四万七千円も増えていた? だれも死んでいないのに姉が四方八方に
喪中はがきを送りつけていた? ミステリ談義の集まりにひとりゲストをお呼びして、
毎回カフェ〈アンブル〉でゆるゆると行う推理合戦。それなりにみんながんばるのだけど、
いつも謎を解き明かすのは店長の茶畑さんなのだった。──もっと気軽に謎解きを楽しみたいと思っていた皆さんへ贈る、
ほがらかなパズル・ストーリー7編。期待の新鋭がデビューを果たした安楽椅子探偵シリーズ第1弾。


更新が止まってました。
コロナに罹患してなんやらかんやらありまして。

気を張らずに、ゆっくり読める、まさにうってつけのミステリを読了。
コージーミステリ好きがあつまり、ミステリ談義をしている最中、どこからともなく
謎が持ち込まれ、メンバーのあれやこれやの推理の後に、真打たる店長が名推理を披露するという展開。

アイザック・アシモフ『黒後家蜘蛛の会』をどこまでオマージュした本作は、
コージーミステリあるいは安楽椅子探偵ものとして定番になるかもしれません。

個人的おススメは「あるいは謎の喪中はがき」
これは純粋にわかりませんでした(笑)
先手を打ったということなんですねえ。
誰しもそういう病というかありますから、このお姉さんの感情は理解できる。
しかし喪中はがきとは・・・徹底してますね。
筆者もあとがきで書かれてますが、年賀はがきがいつまで続くのか、どうなることか。

「見知らぬ十万円」はやや強引かなという印象。
犯人はすぐわかるでしょう。まずその場で確認しろという。

「郷土史症候群」はタイトルは非常に面白いのですが、
謎はなんとなく予想がつきます。ただし動機まではわからず。

すでに第2弾のお話もあるようで、いやいや楽しみです。

コージーボーイズ、あるいは消えた居酒屋の謎 (創元推理文庫) - 笛吹 太郎
コージーボーイズ、あるいは消えた居酒屋の謎 (創元推理文庫) - 笛吹 太郎
コージーボーイズ、あるいは消えた居酒屋の謎 (創元推理文庫) [ 笛吹 太郎 ] - 楽天ブックス
コージーボーイズ、あるいは消えた居酒屋の謎 (創元推理文庫) [ 笛吹 太郎 ] - 楽天ブックス
posted by コースケ at 20:06| Comment(0) | 笛吹太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月04日

檜垣澤家の炎上

まずはAmazonさんの紹介ページから。

『細雪』×『華麗なる一族』×ミステリ!
「女であっても、私はすべてを手に入れたい」
富豪一家に拾われた娘のたったひとりの闘いが始まる。


横濱で知らぬ者なき富豪一族、檜垣澤家。当主の妾だった母を亡くし、高木かな子はこの家に引き取られる。商売の舵取りをする大奥様。
互いに美を競い合う三姉妹。檜垣澤は女系が治めていた。そしてある夜、婿養子が不審な死を遂げる。政略結婚、軍との交渉、昏い秘密。
陰謀渦巻く館でその才を開花させたかな子が辿り着いた真実とは──。
小説の醍醐味、その全てが注ぎこまれた、傑作長篇ミステリ。【解説=千街晶之】

というわけで、以下若干のネタバレあり。






『このミス』でい第3位に輝いた、新潮文庫書き下ろし作品。
書き下ろしミステリ、と書くべきなのでしょうが、中々難しい。

当然ながら『本格ミステリ・ベスト10』にはランクインしていません。
となると、『このミス』は何を評価して、このランキングなのか。

『このミス』のMY BEST 6でも結構取り上げられており、大河小説と評している方や、
重厚な物語の中に様々な伏線を張り巡らせた、まぎれもなくミステリとの評。

檜垣澤という女系一族の中の、妾腹の子であった高木かな子が、引き取られ、
どう生きていくのか、そして成長するにつれ、いかに自分の立場に見合ったものを手に入れるか、
子どもとは思えない行動と洞察力で、明治から大正を生き抜く物語。

女系とあえて書きましたが、これもミスリードですよね。
「ハル様」なる祟りをもたらす存在、
何もかも見通す、女刀自・スヱ。

自分をおもちゃのようにしていた、珠代や雪江、彼女たちが嫁いでしまうシーンは必読ですね。
かな子の人間味というか、なんだかんだ言っても、ずっと暮らしていたことへの思いがあったのでしょう。
これはラストの、まさに「炎上」の時にも見られます。それも感情が抑えられない程に。

花も自分のことをよく考えてくれていた。花なりに。
そんな感謝をするかな子の成長まで読めるのが良いです。

一番謎のような存在で描かれるのは西原でしょう。
かな子は油断ならない相手と警戒しつつ、最後の面会で感じたものは男女のそれなのか、いや上手い描き方です。

明治から大正末年までを描く本作。
かな子が唯一予想だにしなかった人が、放火&殺人事件の犯人。
でもこれは、スヱも噛んでいるわけで、その先、そのままの状態がいいとは誰も思っていなかったはずなので、
スヱは最後どうするつもりだったのだろうか。

大正末まで描かれれると記しましたが、最後に起こるのは関東大震災です。
この災害で、檜垣澤家はほとんど亡くなってしまい、
かな子は改めて、自分が求めていた立場に立つのですが、一方で、とてつもない後悔のようなものにも襲われます。
でも彼女にはまだ頼れる人が最後に現れましたし、持ち前の性格で立て直すでしょう。

解説の千街さんが、京極夏彦先生の『絡新婦の理』の一節を挙げているのは流石。
そう、本作確かに共通点が非常に多い。しかし、『絡新婦』と違うのは、とあとはぜひ読んで楽しんでください。

檜垣澤家の炎上(新潮文庫) - 永嶋恵美
檜垣澤家の炎上(新潮文庫) - 永嶋恵美
檜垣澤家の炎上(新潮文庫)【電子書籍】[ 永嶋恵美 ] - 楽天Kobo電子書籍ストア
檜垣澤家の炎上(新潮文庫)【電子書籍】[ 永嶋恵美 ] - 楽天Kobo電子書籍ストア
posted by コースケ at 17:38| Comment(0) | 永嶋恵美 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月01日

名探偵は誰だ

まずはAmazonさんの紹介ページから。

「ホテルの客で唯一、自分を殺そうとしていないのは?」「一人暮らしの老婦人を始末しようとしているのは?」
「伝説の殺し屋のターゲットは?」「雪の山荘が爆破される緊急事態に生き残ったのは?」
「画廊に現れた《怪盗万華鏡》の正体は?」……。新本格ミステリの名手が贈る、
トリックとロジックとサプライズに満ちあふれたフーダニット7編。(解説・若林踏)

本年もどうぞよろしくお願いします。
犯人当てではない、ミステリといえば、パット・マガーの『被害者を探せ!』『探偵を探せ!』『七人のおば』
挙げればきりがありませんが、やはりマガーの作品群は色あせません。

芦辺さんの本作も当然ながらマガー作品を踏まえた上で、様々な切り口から我々を楽しませてくれます。
個人的愁眉は、第5話の「生き残ったのは誰だ?」。
解説にあるように、「雪の山荘が爆破される緊急事態に生き残ったのは?」というのを明らかにするのですが、
いわゆる本格の舞台装置を逆手に取った名作。
なるほど、関係者を一堂に会するの意味も、大きく(思っていたのと)違い、いやいや、素晴らしい短編です。

最初の「犯人以外を当てる」のは、読者も解けるようになっています。容疑者の会話から
果たして皆さん見つけることができるでしょうか?

ところで、パット・マガーのWikipediaでは、上記に挙げた作品は「変格推理」に分類されていて、
そういう分類あるんだろうかと、少し気になりました。

名探偵は誰だ (光文社文庫 あ 36-10) - 芦辺拓
名探偵は誰だ (光文社文庫 あ 36-10) - 芦辺拓
名探偵は誰だ (光文社文庫) [ 芦辺拓 ] - 楽天ブックス
名探偵は誰だ (光文社文庫) [ 芦辺拓 ] - 楽天ブックス
posted by コースケ at 23:42| Comment(0) | 芦辺拓 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年12月31日

ぼくの「このミス」2024

更新が止まってました。
新型コロナウイルス感染症に罹患しまして、現在まだまだ戦っております。
多少動けるようになったので、最後の締めくくり記事を。

大倉崇裕『福家警部補の考察』
倒叙ミステリの進化を感じる一冊。
「上品な魔女」と「東京駅発6時00分 のぞみ1号博多行き」は
傑作でしょう。
福家警部補の考察 福家警部補シリーズ (創元推理文庫) - 大倉 崇裕
福家警部補の考察 福家警部補シリーズ (創元推理文庫) - 大倉 崇裕
福家警部補の考察 (創元推理文庫) [ 大倉 崇裕 ] - 楽天ブックス
福家警部補の考察 (創元推理文庫) [ 大倉 崇裕 ] - 楽天ブックス

戸坂康二『楽屋の蟹ー中村雅楽と日常の謎』
「日常の謎」を定着化させたのは、北村薫先生。
しかし、そうしたジャンルを開拓したのは間違いなく戸坂康二先生。
超有名でも、やはり「團十郎切腹事件」「グリーン車の子供」は必読です。
楽屋の蟹: 中村雅楽と日常の謎 (河出文庫) - 戸板 康二, 新保 博久
楽屋の蟹: 中村雅楽と日常の謎 (河出文庫) - 戸板 康二, 新保 博久
楽屋の蟹 中村雅楽と日常の謎 (河出文庫) [ 戸板 康二 ] - 楽天ブックス
楽屋の蟹 中村雅楽と日常の謎 (河出文庫) [ 戸板 康二 ] - 楽天ブックス

アントニイ・バークリー『最上階の殺人』
迷探偵?いやいや名探偵ロジャー・シェリンガムの大胆なる推理と行動、
その全てをご堪能あれ!
最上階の殺人 (創元推理文庫) - アントニイ・バークリー, 藤村 裕美
最上階の殺人 (創元推理文庫) - アントニイ・バークリー, 藤村 裕美
最上階の殺人 (創元推理文庫) [ アントニイ・バークリー ] - 楽天ブックス
最上階の殺人 (創元推理文庫) [ アントニイ・バークリー ] - 楽天ブックス

赤川次郎『キネマの天使 メロドラマの日』
相変わらずのユーモア・ミステリは本シリーズではまだまだ健在。これからも私たちを楽しませてください。
キネマの天使 メロドラマの日 (講談社文庫) - 赤川次郎
キネマの天使 メロドラマの日 (講談社文庫) - 赤川次郎
キネマの天使 メロドラマの日 (講談社文庫) [ 赤川 次郎 ] - 楽天ブックス
キネマの天使 メロドラマの日 (講談社文庫) [ 赤川 次郎 ] - 楽天ブックス

みなさま、良いお年をお迎えください。

posted by コースケ at 17:27| Comment(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年12月24日

雪山山荘殺人事件

『少年サンデー』名探偵コナン全事件レポート編纂室よりのご紹介。

小五郎達は雪山で医大教授、大山の別荘へと招かれる。彼の教室員達と鍋を囲んだあと、
大山は席を立ち、そのまま戻らなかった。テレビを見ていた部屋で殺されていたのだ。部屋は荒らされ、
金庫にはこじ開けようとした形跡があった。また、大山がロープで縛られていた事からも強盗のしわざと判断する小五郎。
だが、金目の物が盗られていない事に着目するコナン。さらに正座して絶命した死体、不自然にとぎれた血痕がついたテーブルクロスなど、
不審な点が見つかり、内部犯の疑いが出てきた。雪山の別荘に隠された複雑なトリックにコナンが挑む!

以下、ネタバレ。




というわけで、クリスマスにちなんだミステリを紹介するこの日。
かつて読んでいた『名探偵コナン』からの紹介になります。

この話、正確にはクリスマスなのか記憶がないのですが(苦笑
YouTubeでウインターセレクションと題し、数日前から配信されていますので、
冬なのは間違いない。というわけでご勘弁ください。

この事件はアリバイ崩し&ダイイングメッセージがテーマです。
前者は結構きついんですよね。小五郎が「いくらでしたか?レシートは?」など問い詰めたりしますが、
これは偽のアリバイ作りとしては弱いですよねえ。
アイスが無いなんて、あり得ないからなあ。溶けさせたのも計画的犯行としては稚拙すぎる。

むしろ被害者があんな苦しい殺し方をされて、非常に苦しい状況で、
よくあのダイイングメッセージを遺したなという印象が強い。
あれを見破ったコナンは流石の一言。

というわけで皆様、素敵なクリスマス・イヴを過ごしてください。

名探偵コナン(10) (少年サンデーコミックス) - 青山剛昌
名探偵コナン(10) (少年サンデーコミックス) - 青山剛昌
名探偵コナン(11) (少年サンデーコミックス) - 青山剛昌
名探偵コナン(11) (少年サンデーコミックス) - 青山剛昌

名探偵コナン 10 (少年サンデーコミックス) [ 青山 剛昌 ] - 楽天ブックス
名探偵コナン 10 (少年サンデーコミックス) [ 青山 剛昌 ] - 楽天ブックス
名探偵コナン 11 (少年サンデーコミックス) [ 青山 剛昌 ] - 楽天ブックス
名探偵コナン 11 (少年サンデーコミックス) [ 青山 剛昌 ] - 楽天ブックス
posted by コースケ at 21:34| Comment(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年12月21日

闇に消えた男-フリーライター・新城誠の事件簿

まずはAmazonさんの紹介ページから。

富豪の家に生まれたノンフィクション作家はどこへ何故消えた――?

断崖絶壁に建つ武家屋敷から一族が忽然と姿を消した「消失屋敷」の殺人事件で出会ったフリーライターの新城誠と
文芸評論社の編集者・中島好美。その二人にまた不可解な人間消失事件が起こった。念入りな取材を重ねることで知られる
ノンフィクション作家が失踪したと、捜索を依頼してきたのは、その作家の妻だった。新城は聞き取りをさっそく初めていくのだが、
失踪直後に作家の実家の放火事件が発生、まじめに見えていた作家の裏の顔が暴かれることに――。
富豪だった父の謎の自殺、知らない人物への送金、そして顕れる疑惑の数々。
新城は持ち前の推理力を活かし推理を続けた。そして事件は意外な方向へ。
巧妙に張り巡らせたミステリの伏線と物語のダイナミズム。本格ミステリの女帝が放つ、驚愕の推理エンタテインメント。

Seesaaブログさんへ移行してから、初の更新です。
以下、ネタバレ少々あり。







『消人屋敷』思い出しました。
すごい崖に立ってたんです。よく建築許可が出たなと(笑

それはさておき、本作は中盤でほぼ登場人物が出揃う形になり、
しかも、新城に依頼した妻・日奈子のパートもあるので、なんとなく何がおこなわれたのか、読者は
(日奈子の独白上で)理解はします。

そのため、それを踏まえると果たして犯人は誰なのか、というのと、日奈子が依頼したのも
そもそもなぜなのか、という疑問が生じます。
流石深木先生だけあって、日奈子のパートがありつつも、新城の推理はそれと紙一重の違いなのですが、
この違いは実は紙一重だけれども、天と地ほどの差があるというところがポイントでしょう。

新城の推理後、稲見俊一は変わらず失踪のまま、妻の日奈子も失踪してしまうので、
新城の推理が正しいのでしょう。

もっともトリックというか、必然的にそういうことをするはめになった俊一ですが、
これが現実的にできるかどうかは難しい気がしますね。
(それを言っちゃあおしまいよ、かな?)


重婚という言葉が本書内で出てきますが、少なくとも書類上は違いますし、
あえていえば、究極の二重生活なんですよね。
で大人になってからならともかく、子ども時代が難しいよなあと。
ただ、現実の社会でも失踪人はものすごく多いという統計が出てますから、案外いけるのかもしれません。

ただ、残された子どもたちが可哀そうですね。

というわけで、こちらでもよろしくお願いします。

闇に消えた男 フリーライター・新城誠の事件簿 (角川文庫) - 深木 章子
闇に消えた男 フリーライター・新城誠の事件簿 (角川文庫) - 深木 章子

闇に消えた男 フリーライター・新城誠の事件簿 (角川文庫) [ 深木 章子 ] - 楽天ブックス
闇に消えた男 フリーライター・新城誠の事件簿 (角川文庫) [ 深木 章子 ] - 楽天ブックス
posted by コースケ at 22:12| Comment(0) | 深木章子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年12月15日

2025本格ミステリ・ベスト10

まずはAmazonさんの紹介ページから。

特集は2000年代クォータリー・ベスト本格ミステリ・ランキング発表! 
ベテランから新勢力までしのぎを削った激動の25年から読み巧者が厳選!
二大インタビューは青崎有吾、潮谷験。最新ランキングも大注目!

櫻田智也さんの『六色の蛹』、阿津川辰海さんの『黄土館の殺人』が
『このミス』よりランキングが高いのが、『本格』と冠する書の特徴でしょうか。
『彼女が探偵でなければ』は、おそらく発売時期が早ければ、
確実にもっと上だったでしょうね。

『このミス』に比して、2024年のミステリゲーム、復刊ミステリ2024など、
毎回読みたい特集が多いので、こっちの方が好きなんですよね。

後者の復刊ミステリ2024は、そう、トクマの特選!が止まってしまったのです・・・
梶龍雄や中町信さんの刊行作品はどうなるのかなあ。残念すぎる。

ミステリ演劇特集をみると、本当に色々なミステリが舞台でされてるんだなあと。
「かまいたちの夜」はかなり観たかった。
その一方、映像本格はあまり興味がないんですよね(笑
『十角館の殺人』を映像化したのはすごいとは思うけども、
どうもキャストとかそういうのがねえ。原作改変も多いし。
といった懸念(思い込み)からほぼみてません。

2000年代クオータリー本格ベストランキングというのは、流石『本格ベスト』。
でもこれは難しいでしょうね。5に絞れは無理難題。

ところで、もう使用されているのかもしれませんが、いわゆる「新本格」以降、
今のミステリ界隈は「新本格」とは言いませんよね。
「本格」でいいのかなあ。何か新たな言葉があるのか、うーん。

いずれにせよ、ベスト20の作品の大半は間違いなく文庫化して読む予定です。
しかし積読が増えてきて、だんだん危ない状況に・・・(苦笑

まあうれしい悲鳴ですね。焚書になっちゃ困りますから。


2025本格ミステリ・ベスト10

2025本格ミステリ・ベスト10

  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2024/12/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



posted by コースケ at 18:48| Comment(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年12月14日

ニッポン硬貨の謎―エラリー・クイーン最後の事件

まずはAmazonさんの紹介ページから。

幼児連続殺人事件に挑む、来日中の名探偵エラリー・クイーン。
〈五十円玉二十枚の謎〉との関連は? 敬愛する本格ミステリの巨匠に捧げる、
北村薫の華麗なるパスティーシュ。

有栖川有栖先生の『日本扇の謎』が『このミス』などでもランクインして、
『Zの悲劇』が復刊されと、どうもクイーンが頭をよぎり始めていて、
かつて『競作五十円玉二十枚の謎』は読んだけれど、
(猫丸先輩実質デビュー作?)
真打の作品を読んでいないと思いついて、購入し読んだ作品です。

前半部分を読むと、本当にクイーンが書いたかのような筆致のようで、
素晴らしいと感嘆しました。
『シャム双子の謎』の「読者への挑戦」をめぐる、北村先生なりの≪クイーン論≫。
流石に見事ですが、国名シリーズを全て完読し、しかも繰り返し読んでいないと、
おそらくそこまでの理解はできないでしょう。

私はむしろ『五十円玉二十枚の謎』の北村的な解答の方に興味があったので、
後半の本作での事件メインのパートが気になりました。
言葉遊びと言ってしまえばそれまでなのですが、日米での言葉の意味の違いや、複雑さ。
犯人の動機、理屈ではエラリーの推理に納得するも、理解できた人は居なかったのでは、
というくらい、奇想天外な動機です。
むろん、そうした境地になる悲しい出来事があったのは考慮にいれねばなりませんが。

解説で戸川氏は本書をパスティーシュではなく『偽史』とまで賞賛しますが、
確かにクイーン本人が書いたといわれても、納得してしまう作品です。
EQファンにはたまらない作品ですが、知らない人は楽しめないでしょうね。

私は、これから『Zの悲劇』やライツヴィルの残り2作を読む予定ですが、
ちょっと読み方が変わりそうです。


ニッポン硬貨の謎 エラリー・クイーン最後の事件 (創元推理文庫 (Mき3-6))

ニッポン硬貨の謎 エラリー・クイーン最後の事件 (創元推理文庫 (Mき3-6))

  • 作者: 北村 薫
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2009/04/20
  • メディア: 文庫



posted by コースケ at 18:16| Comment(0) | 北村薫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする