まずはAmazonさんの紹介ページから。
新興宗教団体にかかわる事件で警視庁が緊張に包まれる中、都内近郊ではスズメバチが
人を襲う事故が連続して発生。中には、高速道路を走る車内に蜂が放たれるという悪質な事例も。
平穏な日常を脅かす小さな「兵器」に、窓際警部補・須藤友三と動物大好き新米巡査・薄圭子の
「警視庁いきもの係」コンビが立ち向かう。
新興宗教団体にかかわる事件で、須藤警部補を総務部総務課(動植物係)への
異動を命じた鬼頭管理官が撃たれて入院するというやや衝撃的な事件から物語は
始まります。
新興宗教の事件と都内近郊の蜂被害とが、一体どういう関係なのか、
これが最後まではっきりと結びつかず、最後の最後まで一番大きな謎として
残ります。これが実に上手い。
蜂によって都内をパニックに陥れる、という所までは推理できるものの、
それにより新興宗教団体本部への強制捜査を防ぐことが、どうしてもイコールで
繋がらないのです。
また須藤警部補は最後にある「どんでん返し」な推理を思いついてしまうのですが、
これが真相への伏線として極めて有効で、「小鳥を愛した容疑者」から続く
本シリーズの大きな仕掛けだったのか!と思わずうなってしまいました(笑
本書では「動植物係」誕生の話、さらには次作との絡みなども盛り込まれています。
ところで、薄巡査の制服姿はどこへ行っても勘違いされるようで、
ここは全くビジュアルが浮かばず、わかりにくい(苦笑
次作も楽しみです。
2017年02月23日
2017年02月11日
招待状-赤川次郎ショートショート王国-
Amazonさんの紹介ページから。
ファンクラブ会誌「三毛猫ホームズの事件簿」で、毎号書き下ろされているショートショート。
「封印された贈りもの」「幽霊の忘れ物」「シンデレラの誤算」「テレビの中の恋人」など。
会員から募集したタイトルを元に、創作された二十七の物語。ミステリーはもちろん、
サスペンス、ファンタジー、ラブストーリー…。
赤川ワールドの魅力が、ぎゅぎゅっと詰まった一冊。
赤川さんのショートショートといえば、新潮文庫から刊行された
『踊る男』と『勝手にしゃべる女』が超有名。
特に前者は最近角川文庫から復刊しましたね。
さて、本作はファンクラブ会誌に掲載されているショートショートを文庫化した作品集。
赤川作品らしい強い女性が登場する「やさしい嘘」
悲しい結末を迎える「久しぶりの里帰り」や「誰もいない教室」
特に後者は、<シリーズ・闇からの声>や近年の<花嫁シリーズ>に見られる
社会派的作品です。
一方、「眠れぬ熱帯夜」はまさに『踊る男』での男性2人のバーでのやりとり
を彷彿とする作品。最後のオチがおもしろい。
また「テレビの中の恋人」は上述した「勝手にしゃべる女」の極めて近い作風なのですが、
最後がまさにどんでん返し。
やはりおもしろい。そして赤川先生、作家40周年、御著書600冊おめでとうございます。
これからも私たちを楽しませる作品をずっと届けてください。
ファンクラブ会誌「三毛猫ホームズの事件簿」で、毎号書き下ろされているショートショート。
「封印された贈りもの」「幽霊の忘れ物」「シンデレラの誤算」「テレビの中の恋人」など。
会員から募集したタイトルを元に、創作された二十七の物語。ミステリーはもちろん、
サスペンス、ファンタジー、ラブストーリー…。
赤川ワールドの魅力が、ぎゅぎゅっと詰まった一冊。
赤川さんのショートショートといえば、新潮文庫から刊行された
『踊る男』と『勝手にしゃべる女』が超有名。
特に前者は最近角川文庫から復刊しましたね。
さて、本作はファンクラブ会誌に掲載されているショートショートを文庫化した作品集。
赤川作品らしい強い女性が登場する「やさしい嘘」
悲しい結末を迎える「久しぶりの里帰り」や「誰もいない教室」
特に後者は、<シリーズ・闇からの声>や近年の<花嫁シリーズ>に見られる
社会派的作品です。
一方、「眠れぬ熱帯夜」はまさに『踊る男』での男性2人のバーでのやりとり
を彷彿とする作品。最後のオチがおもしろい。
また「テレビの中の恋人」は上述した「勝手にしゃべる女」の極めて近い作風なのですが、
最後がまさにどんでん返し。
やはりおもしろい。そして赤川先生、作家40周年、御著書600冊おめでとうございます。
これからも私たちを楽しませる作品をずっと届けてください。
2017年02月04日
屋上の名探偵
まずはAmazonさんの紹介ページから。
最愛の姉の水着が盗まれた事件に、怒りのあまり首を突っ込んだおれ。残された上履きから割り出した容疑者には完璧なアリバイがあった。困ったおれは、昼休みには屋上にいるという、名探偵の誉れ高い蜜柑花子を頼ることに。東京から来た黒縁眼鏡におさげ髪の転校生。無口な彼女が見事な推理で瞬く間に犯人の名を挙げる! 鮎川賞作家が爽やかに描く連作ミステリ。文庫オリジナル。
筆者には鮎川哲也賞を受賞した『名探偵の証明』から始める「名探偵」シリーズが
ありますが、シリーズ名探偵が蜜柑花子。
本作は彼女の高校時代の物語、ということなのでしょうか。
本作愁眉は「人体バニッシュ」、人間消失モノです。
急に消えた室先輩。鍵はPC部が握っているようなのですが、
このトリックとPC部の繋がりはまず出てこないだろうなあ。
主人公のシスコンぶりがひどいのがかなり読みにくくしていて、
それでいて、姉との関係性は、語る場面はあるものの、本作では明らかにされず。
主人公と名探偵も関係もあからさまなのだけど、主人公は気付かず、
結局こっちも何の進展もなく終わり。
という感じで、各短編自体は面白いと思いますが、
連作かつ学園モノとしてみると、かなりの消化不良。
(「名探偵」シリーズと何か関連があるのかは、そちら未読なのでわかりませんが)
作品内で時間も経過しているため、続編も考えにくく、
伏線回収もできなそうですしねえ。
ただ、今後「名探偵」シリーズが文庫化されたら、
本作既読済みだと、蜜柑花子に感情移入はしやすいかも。
最愛の姉の水着が盗まれた事件に、怒りのあまり首を突っ込んだおれ。残された上履きから割り出した容疑者には完璧なアリバイがあった。困ったおれは、昼休みには屋上にいるという、名探偵の誉れ高い蜜柑花子を頼ることに。東京から来た黒縁眼鏡におさげ髪の転校生。無口な彼女が見事な推理で瞬く間に犯人の名を挙げる! 鮎川賞作家が爽やかに描く連作ミステリ。文庫オリジナル。
筆者には鮎川哲也賞を受賞した『名探偵の証明』から始める「名探偵」シリーズが
ありますが、シリーズ名探偵が蜜柑花子。
本作は彼女の高校時代の物語、ということなのでしょうか。
本作愁眉は「人体バニッシュ」、人間消失モノです。
急に消えた室先輩。鍵はPC部が握っているようなのですが、
このトリックとPC部の繋がりはまず出てこないだろうなあ。
主人公のシスコンぶりがひどいのがかなり読みにくくしていて、
それでいて、姉との関係性は、語る場面はあるものの、本作では明らかにされず。
主人公と名探偵も関係もあからさまなのだけど、主人公は気付かず、
結局こっちも何の進展もなく終わり。
という感じで、各短編自体は面白いと思いますが、
連作かつ学園モノとしてみると、かなりの消化不良。
(「名探偵」シリーズと何か関連があるのかは、そちら未読なのでわかりませんが)
作品内で時間も経過しているため、続編も考えにくく、
伏線回収もできなそうですしねえ。
ただ、今後「名探偵」シリーズが文庫化されたら、
本作既読済みだと、蜜柑花子に感情移入はしやすいかも。
2017年02月01日
さびしい独裁者-第九号棟の仲間たち
まずはAmazonさんの紹介ページから。
深夜二時、帰宅途中に何者かに拳銃を突きつけられた若手タレントの双葉サユリは、
ダルタニアンと名乗る男に助けられる。一ヶ月前、仕事で訪れたP国で反政府ゲリラ狩りを目撃してしまったことが、狙われた原因らしい。「誰かに相談したくなったら、訪ねておいでなさい」ダルタニアンの言葉に従い、
サユリは鈴本芳子の家を訪ね、“第九号棟の仲間たち”に助けを求める!好評シリーズ長篇。
第3弾もまた長編!
表題の「独裁者」、てっきり九号棟の新入りかと思いそうですが、
これはP国でクーデターを起こしたガレスを指しています。
鈴本芳子、「ホームズ」、「ダルタニアン」、そして「ルパン」。
お馴染みのメンバーの活躍はさることながら、
本作は、「主人公」双葉サユリとパコの物語でしょう。
村木涼子が実にいい役回り。
コメディリリーフの役を担ってます。
ディレクターの音田が芳子へを役者へ誘う台詞
「しかしね、役者ってのは面白いよ。色んな人生や、人間を体験できるんだ。こんな
こと、他じゃ不可能なことだよ」
それに対する芳子の台詞
「私はね、もっと不可能なことを毎日、体験してますの」
このやりとりは、本シリーズそのものを表してますよね。
「ホームズ」も「ダルタニアン」も「ルパン」も、そして「アニーオークリー」も。
全てその人物を演じているのではなく、本人そのものだと思っているのですから。
シリーズはまだまだ続く、果たして次はどんな有名人が登場するのか?

深夜二時、帰宅途中に何者かに拳銃を突きつけられた若手タレントの双葉サユリは、
ダルタニアンと名乗る男に助けられる。一ヶ月前、仕事で訪れたP国で反政府ゲリラ狩りを目撃してしまったことが、狙われた原因らしい。「誰かに相談したくなったら、訪ねておいでなさい」ダルタニアンの言葉に従い、
サユリは鈴本芳子の家を訪ね、“第九号棟の仲間たち”に助けを求める!好評シリーズ長篇。
第3弾もまた長編!
表題の「独裁者」、てっきり九号棟の新入りかと思いそうですが、
これはP国でクーデターを起こしたガレスを指しています。
鈴本芳子、「ホームズ」、「ダルタニアン」、そして「ルパン」。
お馴染みのメンバーの活躍はさることながら、
本作は、「主人公」双葉サユリとパコの物語でしょう。
村木涼子が実にいい役回り。
コメディリリーフの役を担ってます。
ディレクターの音田が芳子へを役者へ誘う台詞
「しかしね、役者ってのは面白いよ。色んな人生や、人間を体験できるんだ。こんな
こと、他じゃ不可能なことだよ」
それに対する芳子の台詞
「私はね、もっと不可能なことを毎日、体験してますの」
このやりとりは、本シリーズそのものを表してますよね。
「ホームズ」も「ダルタニアン」も「ルパン」も、そして「アニーオークリー」も。
全てその人物を演じているのではなく、本人そのものだと思っているのですから。
シリーズはまだまだ続く、果たして次はどんな有名人が登場するのか?

さびしい独裁者: 第九号棟の仲間たち3 〈新装版〉 (徳間文庫)
- 作者: 赤川 次郎
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2017/01/07
- メディア: 文庫

第九号棟の仲間たち3 さびしい独裁者 〈新装版〉 (徳間文庫)
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2017/01/07
- メディア: Kindle版