2017年05月27日

真夜中の騎士-第九号棟の仲間たち-

まずはAmazonさんの紹介ページから。

悪名高い実業家添田が、白馬にまたがった黒い鎧の騎士に剣で殺されるという謎の事件が発生。
しかも愛人今日子の目の前で!次に騎士が現れたのは、あるパーティ会場。
製薬会社会長の黒川の心臓を槍でひと突きにした。騎士の正体とは?何が目的なのか?!
現場に居合わせた鈴本芳子は、被害者の娘黒川さつきに相談を受け、
おなじみ“第九号棟の仲間たち”と「黒い騎士事件」に迫る!

馬に乗ってどこからともなく現れる「黒い騎士」
悪い噂や悪名高い者たちの首を次々と刎ねていく、その様はなんだか
「必殺」シリーズのようでもあります。

ダルタニアンの八面六腑の活躍は相変わらずで、
双璧をなすホームズが今回は影が薄いですね。

鈴本芳子だけでなく、今日子や黒川さつきといった、赤川作品おなじみの
強い女性の活躍も相変わらずで、読んでいて安心感を覚えてしまいます。

1点不満があるとすれば、黒い騎士の背景が描かれなかったことでしょうか。
あえて描かなかったのかもしれませんが、騎士がなぜあのような状況に
なってしまったのか、もう少し触れて欲しかったです。

復刊も次が最終刊みたいですね。寂しい限りです。


真夜中の騎士: 第九号棟の仲間たち5 〈新装版〉 (徳間文庫)

真夜中の騎士: 第九号棟の仲間たち5 〈新装版〉 (徳間文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2017/05/02
  • メディア: 文庫



第九号棟の仲間たち5 真夜中の騎士 〈新装版〉 (徳間文庫)

第九号棟の仲間たち5 真夜中の騎士 〈新装版〉 (徳間文庫)

  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2017/05/02
  • メディア: Kindle版



真夜中の騎士 (徳間文庫)

真夜中の騎士 (徳間文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 1993/02
  • メディア: 文庫
posted by コースケ at 15:25| Comment(3) | TrackBack(0) | 赤川次郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月17日

双孔堂の殺人 ~Double Torus~

Amazonさんの紹介ページから。

二重鍵状の館、“Double Torus”。警察庁キャリア、宮司司は放浪の数学者、十和田只人に会うため、
そこへ向かう。だが彼を待っていたのは二つの密室殺人と容疑者となった十和田の姿だった。
建築物の謎、数学者たちの秘された物語。シリーズとして再構築された世界にミステリの面白さ
が溢れる。“堂”シリーズ第2弾。

今後のシリーズキャラクターとなる宮司兄妹が初登場となる本作。
放浪の数学者である十和田は他に合理的に考えられないとし、
犯人として逮捕されるという、とんでもない場面から物語がスタートします。

例のシリーズキャラクターはおそらくすぐにわかるはず。
明らかに怪しいので(笑

本作も構造物を実に上手く使ったトリックが用いられています。
それと、ダブル・トーラスという対称性を十和田自身が
一貫して全ての出来事に当てはめていくのが面白い。
宮司のように唖然とするのが普通でしょうが、そこが十和田自身の魅力でもあります。

ところで、本作の第Ⅴ章では謎解きが行われますが、
個人的にはその後の動機解明と犯人独白は蛇足に感じました。
通常のミステリであれば当然あってしかるべきなのですが、
このシリーズは十和田自身も重視していないですが、
動機云々よりも、この<堂>でいかにして事件が起きたのか、が
最大の関心事で、それが解ければ終了なのではないかと。

あと宮司の妹がいまいちよくわからないキャラなので、
次作にその辺も明らかになるのか期待したいところです。


双孔堂の殺人 ~Double Torus~ (講談社文庫)

双孔堂の殺人 ~Double Torus~ (講談社文庫)

  • 作者: 周木 律
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/12/15
  • メディア: 文庫



双孔堂の殺人 ~Double Torus~ 数学者十和田只人 (講談社文庫)

双孔堂の殺人 ~Double Torus~ 数学者十和田只人 (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/12/15
  • メディア: Kindle版
posted by コースケ at 23:01| Comment(4) | TrackBack(0) | 周木律 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月14日

かくも水深き不在

Amazonさんの紹介ページから。

森に包まれた廃墟の洋館で次々と鬼に変化(へんげ)していく仲間たち。
何故か見るだけで激しい恐怖に襲われ るCM。想い人のストーカーを追及する男の狂気。
大御所芸人の娘を狙った不可解な誘拐事件。浮かび現われては消える4つの物語は、
異能の精神科医・天野の出現により誰も見たことのない局面へと変容していく。
全ての謎を看破する超越的論理(ロジック)と幻想の融合で煌めく、
めくるめく万華鏡(カレイドスコープ)を体感せよ!

なんと、竹本健治先生の御著書も初めてという、いったいおまえは
ミステリを読んでいるのかと言われそうなブログですが・・・(汗

本作は連作短編集の形を一応は取っているのではないかと思います。
「鬼ごっこ」から「怖い映像」への繋がりは主人公が同一人物かと
匂わせています。

一方で全ての短編に登場する精神科医・天野不巳彦が、この主人公の同一性を
否定しており、天野こそが本作の主人公であると印象付けられます。

短編本体で見た場合、やはり群を抜いているのは「零点監視の誘拐」でしょう。
犯人の真の目的は何なのか?天野が見事なまでの推理を披露します。

最終話「舞台劇を成立させるのは人ではなく照明である」は
これまでの全ての謎を解くという、名探偵の見せ場であり、
これまでの物語全てを反転させる役割を持つ、衝撃作品です。
最終話はサイコホラーな面を全面に出しつつも、本格ミステリとして本書をうまく
まとめている印象を持ちました。名作です。


かくも水深き不在 (新潮文庫)

かくも水深き不在 (新潮文庫)

  • 作者: 竹本 健治
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/03/29
  • メディア: 文庫



かくも水深き不在

かくも水深き不在

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/07/20
  • メディア: Kindle版
posted by コースケ at 01:54| Comment(4) | TrackBack(0) | 竹本健治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月05日

○○○○○○○○殺人事件

Amazonさんの紹介ページから。

アウトドアが趣味の公務員・沖らは、仮面の男・黒沼が所有する孤島での、夏休み恒例のオフ会へ。
赤毛の女子高生が初参加するなか、孤島に着いた翌日、メンバーの二人が失踪、続いて殺人事件が。
さらには意図不明の密室が連続し……。果たして犯人は? そしてこの作品のタイトルとは? 
「タイトル当て」でミステリランキングを席巻したネタバレ厳禁の第50回メフィスト賞受賞作

ノベルス版の表紙が印象的で(笑)
文庫版はどうなるのかなーと期待してましたが、案外と落ち着いてました。

初っ端から「読者への挑戦状」が入り、作者の煽りが強烈ですが、
このタイトル当て(ミステリとしては初めての試み?)に引っ張られすぎると
本書の犯人当てを見失ってしまう恐れがあります。

孤島での殺人、仮面を付けた登場人物、電話は不通に・・・etcと
これでもかとミステリの「ひな形」を持ってきている本書。

しかし一方で、南国モードとい、一見「厨二病」かと思うような記述が入り込み、
(読んでいてやや苦痛)
語られ始める主人公と成瀬の本格ミステリファンの話などなど。
途中で誰もが疑うある「トリック」について筆者自身が否定するのですが、
これこそが、作者の仕掛けたトリック。

タイトル当てに目を惹かれがちですが、本書の特徴は1つの大仕掛け?
なトリックで、まあバカミスでしょう(笑

私は一度しか読んでないのですが、これは叙述トリックに分類できるのかどうか・・・
どうなんでしょう。


○○○○○○○○殺人事件 (講談社文庫)

○○○○○○○○殺人事件 (講談社文庫)

  • 作者: 早坂 吝
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/04/14
  • メディア: 文庫



○○○○○○○○殺人事件 (講談社文庫)

○○○○○○○○殺人事件 (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/04/14
  • メディア: Kindle版



○○○○○○○○殺人事件 (講談社ノベルス)

○○○○○○○○殺人事件 (講談社ノベルス)

  • 作者: 早坂 吝
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/09/04
  • メディア: 新書
posted by コースケ at 07:58| Comment(7) | TrackBack(0) | 早坂吝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする