2017年08月31日

さよなら神様

まずはAmazonさんの紹介ページから。

「犯人は○○だよ」。クラスメイトの鈴木太郎の情報は絶対に正しい。やつは神様なのだから。
神様の残酷なご託宣を覆すべく、久遠小探偵団は事件の捜査に乗り出すが…。
衝撃的な展開と後味の悪さでミステリ界を震撼させ、本格ミステリ大賞に輝いた超話題作。
他の追随を許さぬ超絶推理の頂点がここに!第15回本格ミステリ大賞受賞。

神様シリーズ第2弾。
本作の特徴は、最初にその事件の犯人が示されることでしょう。
どんなにその人物に強固なアリバイがあったり、動機がみつからなくても、
神様の言う事に「嘘」はないということが大前提である以上、
逆算でどうすればその人物が犯人なのかを考察していくこととなります。

一方そうしたパターンの中で本書で一番強烈だったのは「バレンタイン昔語り」
そもそもその神様が犯人として挙げた人物は物語に登場すらしていないのです。
そしてさらに本作では被害者に対しても強烈なサプライズを持ってきています。
こうした展開は、神様の言う事は絶対であるという、本作の大前提があるからこそ
生まれる衝撃であり、傑作です。

貴族探偵といい、本書といい摩耶先生の作品には毎回驚かされっぱなしですが、
先生の新作にまた期待したいです。


さよなら神様 (文春文庫)

さよなら神様 (文春文庫)

  • 作者: 麻耶 雄嵩
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/07/06
  • メディア: 文庫



さよなら神様 (文春文庫)

さよなら神様 (文春文庫)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/07/06
  • メディア: Kindle版
posted by コースケ at 09:25| Comment(4) | 麻耶雄嵩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月20日

不思議の国のサロメー第九号棟の仲間たち

まずはAmazonさんの紹介ページから。

母親が愛人の首を切り落とした現場を目撃してしまった今村まどか。十四歳の少女の心のケアのため、
ホームズたちがいる“第九号棟”へ入院することになった。ところが入院したその日、看護人が同じように首を切り落とされ殺害されてしまう。自分を“サロメ”だと思い込んだまどかの犯行なのか?
病院から失踪したまどかを追って、ルパンやダルタニアンたちは調査を進める!

今回は九号棟が舞台となる作品。
ホームズやダルタニアンの活躍はいつも通りですが、
ルパンにピンカートン、サラ・ベルナール、ロビン・フッド、
アニー・オークリー、ベートーヴェンにクレオパトラ・・・
まさに(現時点での)シリーズ最終話に相応しい、九号棟の仲間たち
が大活躍します。

一方で主人公の鈴本芳子より、大川一江が本作ではメインを張っていて、
その点でもおもしろい作品です。
というか、これはシリーズを通して、この大川一江の成長を描く作品でもあり、
主人公はもしかしたら彼女なのかもしれません。

最後の大団円も相変わらずですが、しかしシリーズがこれで
終わってしまうのかと思うと、残念でなりません。
ぜひ続編を期待します。


不思議の国のサロメ: 第九号棟の仲間たち6 〈新装版〉 (徳間文庫)

不思議の国のサロメ: 第九号棟の仲間たち6 〈新装版〉 (徳間文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2017/07/07
  • メディア: 文庫



第九号棟の仲間たち6 不思議の国のサロメ 〈新装版〉 (徳間文庫)

第九号棟の仲間たち6 不思議の国のサロメ 〈新装版〉 (徳間文庫)

  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2017/07/07
  • メディア: Kindle版
posted by コースケ at 15:12| Comment(4) | 赤川次郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月13日

禁じられた過去

まずはAmazonさんの紹介ページから。

経営コンサルタントの山上忠男は、かつて憧れていた美沙から相談を受けた。
彼女の恋人が、横領の嫌疑をかけられているという。この横領事件をきっかけに、
山上は大きな謀略に陥れられていく。家族、かつての友人、女性秘書…、
周囲の人物までも巻き込んで、事件は目まぐるしく進展する。初恋の女性に心を一瞬奪われ、
危機に陥ってしまった山上の運命は!?

息もつかせぬ赤川作品。
次々と予期せぬ出来事や登場人物が増えていき、まさにジェットコースターサスペンス。

山上忠男の娘であるエリが赤川作品常連の強い女性。
そして何気にほとんど脇役なのですが、MVPといっていい活躍をしたのが
山上夫妻が宿泊した旅館のマネージャー・平松弓子。
彼女の旅館をメインとした短編集でも書いてほしいです。

いかにも怪しげな情報屋や、事件を追う村内刑事と安西刑事の因縁。
ひょんなところで出会った大学時代の旧友・津田との再会、そして事件も
加わり、本筋である、殺害された水野智江子の事件にどう絡むのか。
最後に一気に収斂させるのはさすが赤川次郎先生。
しっかり救いも入ってます。

復刊は本当にありがたいですね。


禁じられた過去 (光文社文庫)

禁じられた過去 (光文社文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2017/07/11
  • メディア: 文庫



禁じられた過去 (角川文庫)

禁じられた過去 (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2001/07/13
  • メディア: Kindle版



禁じられた過去 (角川文庫)

禁じられた過去 (角川文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1999/12
  • メディア: 文庫



禁じられた過去 (双葉文庫)

禁じられた過去 (双葉文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 1994/12
  • メディア: 文庫
posted by コースケ at 22:56| Comment(4) | 赤川次郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月01日

ペンギンを愛した容疑者

まずはAmazonさんの紹介ページから。

「人間の視点で物を考えないでください」 動物オタクの天然系巡査・薄圭子のアニマル推理が大爆発!
ペンギン、ヤギ、サル、ヨウム……現場に残されたペットの生態から、
常識はずれの発想で真犯人をあぶり出す。コンビを組む元捜査一課の鬼刑事・須藤友三も、
薄を認め始めるが。大好評シリーズ、待望の第3弾。

ドラマ化に合わせて過去作の表紙がリニューアルされましたね。
相も変わらず須藤警部補&薄巡査のコンビは見事にペットの世話から
事件を探り出し、解決します。
しかし、そんな「いきもの係」の活躍に対して、所轄や捜査一課などなど、
本来殺人事件を捜査する部署の輩から良く思われていない様子・・・
それだけ彼らの活躍が知れ渡っているのでしょうが、
「いきもの係」設立を主導した鬼頭管理官や石松警部補が止められるのか、
次作以降はそこも心配です。

本書オススメは「サルを愛した容疑者」
二転三転するミステリで、「モルグ街の殺人」を彷彿とさせる内容。

それにしても「小鳥を愛した容疑者」から「蜂に惹かれた容疑者」までが5年(文庫化まで)
とシリーズとしては非常に遅い歩みで進行していましたが、
ここにきて、最新作「クジャクを愛した容疑者」と立て続けに出ていることに驚き。

動物の生態について勉強した上でなければ、このミステリは書けないので、
大倉さん自身、相当な知識を蓄えた上で執筆されているのでしょう。
その点もすごいですね。


ペンギンを愛した容疑者 警視庁いきもの係 (講談社文庫)

ペンギンを愛した容疑者 警視庁いきもの係 (講談社文庫)

  • 作者: 大倉 崇裕
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/06/15
  • メディア: 文庫



ペンギンを愛した容疑者 警視庁いきもの係 (講談社文庫)

ペンギンを愛した容疑者 警視庁いきもの係 (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/06/16
  • メディア: Kindle版
posted by コースケ at 23:39| Comment(4) | TrackBack(0) | 大倉崇裕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする