2017年10月21日

伽藍堂の殺人~Banach-Tarski Paradox~

まずはAmazonさんの紹介ページから。

謎の宗教団体・BT教団の施設だった二つの館の建つ伽藍島。リーマン予想解決に関わる講演会のため訪れた、放浪の数学者・十和田只人と天才・善知鳥神、宮司兄妹。その夜、ともに招かれた数学者二人が不可能と思われる“瞬間移動”殺人の犠牲となる。秘められた不穏な物語がさらに動く“堂”シリーズ第四弾。

本シリーズは森博嗣氏の<真賀田四季>的な立場である善知鳥神と探偵役である十和田只人、
さらには宮司兄妹の物語なんだろうと思ってきました。

しかし、シリーズ最初から登場する数学界の天皇・藤衛<藤天皇>が本書では大きく
クローズアップされ、本シリーズの見方がかなり変わりました。
それは本書の結末を読めば否応なくわかります。

トリックそのものは、本シリーズを読んでいれば多少は予想できるものの、
相変わらずアクロバティックです。
もはやこのシリーズで島が廻ることなど、驚きもしません(笑

本書でのラストを読んで、次作がますます楽しみになりました。


伽藍堂の殺人 ~Banach-Tarski Paradox~ (講談社文庫)

伽藍堂の殺人 ~Banach-Tarski Paradox~ (講談社文庫)

  • 作者: 周木 律
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/09/13
  • メディア: 文庫



posted by コースケ at 21:26| Comment(3) | 周木律 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月08日

虹の歯ブラシー上木らいち発散

まずはAmazonさんの紹介ページから。

『○○○○○○○○殺人事件』で鮮烈デビューした「奇才」による待望のメフィスト賞受賞第1作!
上木らいちは援交をする高校生で名探偵でもある。殺人現場に残された12枚の遺体のカラーコピー、
密室内で腕を切断され殺された教祖、隣人のストーカーによる盲点をつく手口
――数々の難事件を自由奔放に解決するらいち。その驚くべき秘密が明かされる時、
本格ミステリは新たな扉を開く! さらにパワーアップした傑作短編集登場。

日本一エロい探偵とされる上木らいちの第2作にして、連作短編集。
オススメはやはりアリバイ崩しというど真ん中に、その暴き方がらいちらしい「紫」。
そして意外な犯人ならぬ意外な被害者というただ一点のみの「青」

「橙」から、上木らいちの過去の話が登場してきて、
「赤」では各話で太字になっていた箇所の意味と、ある種メタ的な作者による謎解き。
探偵の謎に迫っているようで、実はかなりふざけているようにも読めて、
この「赤」は賛否が分かれるところでしょう。
読んでいて、私はよくわかりませんでした。

しかし本シリーズはこの後も第4作目まで出ており、この上木らいちの正体に
改めて迫っているのかいないのか、そのあたりは読み所?な気がします。


虹の歯ブラシ 上木らいち発散 (講談社文庫)

虹の歯ブラシ 上木らいち発散 (講談社文庫)

  • 作者: 早坂 吝
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/09/13
  • メディア: 文庫



虹の歯ブラシ 上木らいち発散 (講談社文庫)

虹の歯ブラシ 上木らいち発散 (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/09/14
  • メディア: Kindle版
posted by コースケ at 22:45| Comment(5) | 早坂吝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月04日

探偵ファミリーズ

まずはAmazonさんの紹介ページから。

カワイイあのコは、妹?姉?それとも…?
このシェアハウスに集まる家族は全員、探偵!

格安家賃のシェアハウスに住むことになった元・美少女子役の五月女リオは
見返りとして大家の営む「レンタル家族業」を手伝うことに!
リオが演じてみせるのは、人気漫画家の妹役からワケあり老人の息子役まで多種多様。
ひと筋縄ではいかない依頼と次第に増える「家族」たちが、思いもよらない事件を呼び込む!?
結末までイッキ読み、笑いと衝撃の本格ミステリー。

シェアハウスを舞台に、主人公の五月女リオが「レンタル家族業」を通じて
疑似家族を形成していく物語です。
で、その疑似家族を構成していく過程がちょっとした事件となっています。
リオは探偵役という訳ではなく、リオが住むシェアハウス「チロリアンハウス」の大家
である大家さん。

連作短編集の形を取っており、大家さんがどうも物語の核心だなあと思いつつ、
最後どのような形で締めくくるのか楽しみだったのですが、なるほど、そうきたかと。

かなり濃いキャラクター設定になっているのですが、その中で大家さんだけは
どこかイメージしにくいキャラクターでした。
しかし、それは最後のオチを描くための方策だったのかもしれません。
ただし、そのために謎は残ったのですが(笑


探偵ファミリーズ (実業之日本社文庫)

探偵ファミリーズ (実業之日本社文庫)

  • 作者: 天祢 涼
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2017/08/05
  • メディア: 文庫
posted by コースケ at 22:23| Comment(4) | 天祢涼 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする