2018年04月28日

妖盗S79号

まずはAmazonさんの紹介ページから。

神出鬼没の怪盗S79号!指輪に名画、名刀に化石まで、古今東西のお宝を、
奇想天外な手口で次々と盗み出す。そんな中、世間では、連続猟奇殺人事件も発生中で、大混乱!
果たして、警視庁のS79号専従捜査班は怪盗の正体とその真の目的を暴くことができるのか?
ユーモラスで見事なトリックが光る傑作、待望の復刊!

河出文庫泡坂妻夫復刊第2弾。
正体不明・神出鬼没、そして大胆不敵、警視庁のファイル名から名付けられたその名前。
かつての怪人二十面相やルパンを彷彿とさせます。

しかし本書の主人公は専従捜査班の東郷警部、その部下・二宮刑事。
特に東郷警部はS79号逮捕の執念から、突飛な行動や奇想天外な妄想?を
抱くなど、なんとなくダメな刑事の雰囲気を漂わせます。
一方でその部下の二宮刑事はそんな東郷を刺激することなく、過ごす毎日。
しかし、プライベートでは身内の不幸が続き、税金に追われる日々・・・
なんだかマヌケな刑事たちが、怪盗を追う、12編の物語、のようにみえますが・・・

すでに第1話「ルビーは火」で犯人らしき人物が名前を名乗って登場しているのですが、
一方でその後の話を読んでいくと、S79号=??と、まあここは伏せますが、
ある一つの推測は皆さん浮かぶのではないでしょうか。

オススメは「庚申丸異聞」と「檜毛寺の観音像」

先ほどマヌケな刑事と書きましたが、実のところ東郷警部は優れた名刑事であると
前言撤回します。
これまでどちらかというと、S79号がどうやって盗んだのか?が謎の中心でしたが、
本作はそれと全く異なるところが実に面白い。そして東郷警部はよくここまで
真相に辿り着いたという、ある種の感動さえ覚えました(笑
まあ、詰めが甘かったのは事実なのですけど(苦笑

後者は芸術家の田甲里黒墨が素晴らしく良い味を出しています。
というよりも、本作はお手伝いのつるも相当に図々しく、というか神経が図太く、
さすがの東郷&二宮もあきれかえる始末です。

最終話「東郷警視の花道」では、本書全編にわたって登場してきたある壮大な事件を
東郷と二宮の手により解決し、最後はS79号含め大団円というフィナーレ。
御大らしいまとめ方。

それにしても二宮刑事は気の毒を通り越して、哀れです。
突然豹変したのにも納得ですが、最終話で2階級昇進を果たし、本当によかった。

最後は「迷蝶の島」。現在読書中です。




妖盗S79号 (河出文庫)

妖盗S79号 (河出文庫)

  • 作者: 泡坂 妻夫
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2018/01/05
  • メディア: 文庫



妖盗S79号 (河出文庫)

妖盗S79号 (河出文庫)

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2018/01/10
  • メディア: Kindle版
posted by コースケ at 23:16| Comment(7) | 泡坂妻夫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月21日

偶像崇拝殺人事件

まずはAmazonさんの紹介ページから。

人気絶頂アイドルグループのコンサート会場で女子高生が刺殺された。
被害者の手には、メンバーの携帯番号が。事件を担当することになった大貫警部だが…?(表題作)
空気を読まず、直感で捜査。無理を通せば道理が引っ込む!?
破天荒すぎる大貫が周囲を翻弄する、大人気ユーモアミステリーシリーズ最新刊!

数あるシリーズの中でも、最も破天荒な性格(本人はそう思っていませんが)を
しているのが本シリーズの大貫警部でしょう。

最近はその破天荒ぶりが少しなりを潜めているのが残念ですが・・・

「偶像崇拝殺人事件」はAKBをモデルにしたお話ですが、
箱崎捜査一課長が意外にもファンだったことが明らかにされます。

大貫警部は昔からマスコミを使うのがやたらに上手いなあと思うんですよね。
本作でも「殺人未遂殺人事件」で何度も過激発言を繰り返します。
「東西南北殺人事件」や「一触即発殺人事件」でも実に上手いのです。
いや、単なる出たがりなのかもしれませんが(笑)

主役であるにもかかわらず、実は「殺人事件」という舞台から一歩引いた所に
警部自身居るのではないかと最近の作品では感じます。
少し時間を進ませて、井上刑事と直子の結婚式を描いてほしいですねえ。


偶像崇拝殺人事件 (講談社文庫)

偶像崇拝殺人事件 (講談社文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/02/15
  • メディア: 文庫



偶像崇拝殺人事件 (講談社文庫)

偶像崇拝殺人事件 (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/02/15
  • メディア: Kindle版
posted by コースケ at 22:54| Comment(4) | 赤川次郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月11日

御子柴くんと遠距離バディ

まずはAmazonさんの紹介ページから。

長野県警から警視庁へ出向中の御子柴刑事。すっかり東京のペースにも慣れ、
刑事としても中堅どころになり、わりあい平穏な日々を送っていた。
だが、その油断がたたったのか、年末押し迫ってから行く先々で事件にぶちあたり、
さらには凶刃に倒れてしまう! 相棒の竹花刑事は御子柴の死を覚悟するが……。
シリーズ第二弾は波瀾の幕開け。

久しぶりの更新です。このところ多忙でした・・・

遠距離バディとはもちろん長野県警の名刑事・小林警部補だと思っていたのですが・・・
なんと本巻では小林警部補は定年退職し、奥様の実家で畑を耕し、タクシー運転手を
しているという、ちょっと残念なことになってました。

小林警部補に代わり、新たに御子柴くんの相棒となったのが警視庁の竹花刑事。
ただし、なぜ遠距離バディなのかは「御子柴くんの災難」で判明します。

というか、この話。かなり破天荒な話で、結論から言えば、この「災難」により
御子柴くんは捜査共助課から、長野県警へ戻ることに。

ところが、なぜか御子柴くんと竹花刑事が扱うそれぞれの事件が、なぜか
密接に関係しているんですよね。

オススメは「火の国から来た男」
最後の結末も驚きますが、竹花と御子柴の偶然の「出会い」が一番強烈でした(笑

次のシリーズ、あるんでしょうかね。
もしあるなら、葉村晶とのコラボを再び見たい。



御子柴くんと遠距離バディ (中公文庫)

御子柴くんと遠距離バディ (中公文庫)

  • 作者: 若竹 七海
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2017/12/22
  • メディア: 文庫



御子柴くんと遠距離バディ (中公文庫)

御子柴くんと遠距離バディ (中公文庫)

  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2017/12/25
  • メディア: Kindle版
posted by コースケ at 22:50| Comment(3) | 若竹七海 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする