まずはAmazonさんの紹介ページから。
“霧の夜の殺人“こそがサラリーマン平田正也の求める「理想的な殺人」。
会議中、社員の小浜一美に悪態をついた顧問桜田に、平田は怒りを覚えた。殺してやる!
酔っ払った桜田を待ち伏せしていたが、何者かに桜田は殺されてしまう。
そして翌日、一美が行方不明に!さらに犯人らしき人物から謎の電話が平田へかかるようになり……。
切り裂きジャックになり損ねた男の近くで起こる連続殺人事件。
また久しぶりの更新になってしまいました。やれやれ・・・
最後まで読むと、ひたすら小浜一美が可哀想だったなあと思います。
登場人物の中では救われなさ過ぎる。
しかし相変わらず設定が面白い。
主人公の平田正也はなぜか「切り裂きジャック」に憧れていて、
殺人を「ジャック」と同じ状況下で犯そうと熱望しているところから物語は始まります。
途中から登場する大場妙子の行動力はまさに赤川作品の女性主人公そのもの。
平田も彼女に押されっぱなしですが、物語が進むにつれ、「切り裂きジャック」から
勇敢な男へと成長していくのがまた良いです。
そして途中は妙な三角関係、いやハーレム状態になるところがうらやましい。
犯人はだいたい想像が付くのではないかと思います。
というより、犯人がある事実を電話で伝えたことが、平田自身も気付いたように
決定的証拠ですしね。
しかしまだまだたくさん未読作品が多そうです。
徳間文庫の赤川作品復刊には今後も期待したいですね。
2018年05月27日
2018年05月13日
あぶない叔父さん
まずはAmazonさんの紹介ページから。
寺の離れで「なんでも屋」を営む俺の叔父さん。家族には疎まれているが、
高校生の俺は、そんな叔父さんが大好きだった。鬱々とした霧に覆われた町で、
次々と発生する奇妙な殺人。事件の謎を持ちかけると、優しい叔父さんは、
鮮やかな推理で真相を解き明かしてくれる――。精緻な論理と伏線の裏に秘された、
あまりにも予想外な「犯人」に驚愕する。ミステリ史上に妖しく光り輝く圧倒的傑作。
久しぶりの更新です。ちょっとさぼっていました。
表紙の風貌や第1話の、主人公・斯峨優斗の「叔父さん」への描写から、
まず間違いなくあの名探偵を想起するでしょう。
しかし、表題作の「あぶない」とは一体どういう意味なのか?
以下ややネタバレ。
小さな田舎町、16年間何の変化もない、そして刺激もないという霧ヶ町に
超弩級の刺激をもたらしているのが、他ならぬ叔父さんであることが本書最大の
面白さではないでしょうか。
特に第1話「失くした御守」は、何度読んでもまず真相に到達することは不可能で、
それが雄斗のひょんな発見から、叔父さんが申し訳なさそうに「真相」を語るという。
ただこの事件の謎と真相が明かされた時の、読者と雄斗・叔父さんの衝撃の「落差」が
あまりに皮肉が効いているのです。
簡単にいえば、実は一連の事件は叔父さんがその原因を作り出している、
これでも控えめで、つまりは叔父さんが犯人なのですね(笑
しかしそこは麻耶先生。「貴族探偵」で魅せた華麗な変化球も当然ながら存在します。
それが第3話「最後の海」。
優斗からまた叔父さんが犯人なのではないかと指摘され(笑)、それを頑強に否定し、
こともあろうに、関係者、そして警察の前で見事な推理を披露し、真相を見抜きます。
それはまさに金田一耕助に他なりません。
というか知っていたのなら、早く話した方が良いのでは・・・という感想も(苦笑
ただし例外はこの一編のみで、他は全て叔父さん絡み。
しかし、真相聞かされても優斗は叔父さんを告発することなく、
なんだ、そうだったのか~という、大団円的な終わり方なのです。
しかし第三者からみれば、この霧ヶ町は小さな田舎町にも拘わらず、
殺人事件が数件にわたり未解決のままという、非常に恐ろしい町なのですが、
そこは一切触れないという、これもまた本作のある種の狂気なのかもしれません。
全てを見通していた神様や、推理はしないが真相は見抜く貴族探偵に
ある意味通じるところはありますが、本作が仮に続編を出すとしたら、
どのような物語が紡がれるのか、非常に興味深く、ぜひ読みたい。
叔父さんの「犯行」が白日の下にさらされることはあるのかどうか。
一方で優斗と真紀、明美との関係も気になるところです。
寺の離れで「なんでも屋」を営む俺の叔父さん。家族には疎まれているが、
高校生の俺は、そんな叔父さんが大好きだった。鬱々とした霧に覆われた町で、
次々と発生する奇妙な殺人。事件の謎を持ちかけると、優しい叔父さんは、
鮮やかな推理で真相を解き明かしてくれる――。精緻な論理と伏線の裏に秘された、
あまりにも予想外な「犯人」に驚愕する。ミステリ史上に妖しく光り輝く圧倒的傑作。
久しぶりの更新です。ちょっとさぼっていました。
表紙の風貌や第1話の、主人公・斯峨優斗の「叔父さん」への描写から、
まず間違いなくあの名探偵を想起するでしょう。
しかし、表題作の「あぶない」とは一体どういう意味なのか?
以下ややネタバレ。
小さな田舎町、16年間何の変化もない、そして刺激もないという霧ヶ町に
超弩級の刺激をもたらしているのが、他ならぬ叔父さんであることが本書最大の
面白さではないでしょうか。
特に第1話「失くした御守」は、何度読んでもまず真相に到達することは不可能で、
それが雄斗のひょんな発見から、叔父さんが申し訳なさそうに「真相」を語るという。
ただこの事件の謎と真相が明かされた時の、読者と雄斗・叔父さんの衝撃の「落差」が
あまりに皮肉が効いているのです。
簡単にいえば、実は一連の事件は叔父さんがその原因を作り出している、
これでも控えめで、つまりは叔父さんが犯人なのですね(笑
しかしそこは麻耶先生。「貴族探偵」で魅せた華麗な変化球も当然ながら存在します。
それが第3話「最後の海」。
優斗からまた叔父さんが犯人なのではないかと指摘され(笑)、それを頑強に否定し、
こともあろうに、関係者、そして警察の前で見事な推理を披露し、真相を見抜きます。
それはまさに金田一耕助に他なりません。
というか知っていたのなら、早く話した方が良いのでは・・・という感想も(苦笑
ただし例外はこの一編のみで、他は全て叔父さん絡み。
しかし、真相聞かされても優斗は叔父さんを告発することなく、
なんだ、そうだったのか~という、大団円的な終わり方なのです。
しかし第三者からみれば、この霧ヶ町は小さな田舎町にも拘わらず、
殺人事件が数件にわたり未解決のままという、非常に恐ろしい町なのですが、
そこは一切触れないという、これもまた本作のある種の狂気なのかもしれません。
全てを見通していた神様や、推理はしないが真相は見抜く貴族探偵に
ある意味通じるところはありますが、本作が仮に続編を出すとしたら、
どのような物語が紡がれるのか、非常に興味深く、ぜひ読みたい。
叔父さんの「犯行」が白日の下にさらされることはあるのかどうか。
一方で優斗と真紀、明美との関係も気になるところです。