ショッピングサイト《ほしがり堂》を経営する深町ユリオは、筋金入りのマニアックなコレクター。
古い家電や顔ハメ看板など、ガラクタにしか見えないモノに価値を見出し、
お宝として売り捌く彼は事件を解決する名探偵でもあった!
カウボーイグッズを身につけた被害者が落馬めいた死を遂げた事件、
判じ絵ネタをする芸人宅で発見された被害者の傍にあった道具に隠されたメッセージ、
食品サンプルコレクターの告別式で食品サンプルがばらまかれた謎など全5編。
ほしがりの兄と苦労人の妹が、お宝をめぐる事件に挑む!
早くも第2弾。作者のあとがきにもありますが、楽しんで書かれているようで、
こちらも早く読めてうれしい。
本作では前作より、コレクター・骨董品を集めると言うより、
より探偵としての活動に行脚しているのではと思われる事多数(笑
名探偵としても活躍している、なんて噂まで飛び交う始末ですから。
「告別式に、食品サンプルの雨が降る」は
殺人も血なまぐさい事件も起こらない、しかしそれでいて一番奇妙な事件。
なぜ食品サンプルが巻かれたのか。香典が「一旦」紛失したのはなぜか。
妹のさくらも兄の影響か名探偵ぶりを発揮する所も見所(読み所)です。
しかし、何度も何度も出棺を繰り返したのは気の毒です・・・
「ほしがり vs 捨てたがり」は完全犯罪になるところを、ユリオのまさに快刀乱麻の
推理がお見事。呆気にとられる刑事たちも見物です。
しかし、表題の捨てたがりとの決着はついてませんが。
「神の手、再び」はラストの松下刑事の切り返しが素晴らしい。
かくいう松下刑事は、ユリオを信奉する唯一の刑事さんかも。
一番コレクター・骨董品的な知識が活用されたのが「馬のない落馬」でしょうか。
死体のカウボーイの姿が(マニアから見て)おかしいというユリオの指摘から、
事件を解決に導いていきます。
思わぬ援軍の鑑識の藤谷さんは次作への登場を希望します!

晴れ時々、食品サンプル (ほしがり探偵ユリオ) (創元推理文庫)
- 作者: 青柳 碧人
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2018/07/12
- メディア: 文庫

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- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2018/07/13
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