まずはAmazonさんの紹介ページから。
毎週金曜の夜、刑事のデイビッドは妻を連れ、ブロンクスの実家へママを訪れる。
ディナーの席でいつもママが聞きたがるのは捜査中の殺人事件の話。
ママは"簡単な質問"をいくつかするだけで、何週間も警察を悩ませている事件を
いともたやすく解決してしまう。用いるのは世間一般の常識、人間心理を見抜く目、
豊富な人生経験のみ。安楽椅子探偵ものの最高峰と称される〈ブロンクスのママ〉シリーズ、
傑作短篇8篇を収録。
楽天かAmazonであなたへのオススメで突然出てきたので、思わず購入しました。
藤原宰太郎さんの『世界の名探偵50人』でしか知らなかったんですよね(苦笑)
個人的には「安楽椅子探偵」の代表ともいえる探偵と思ってます。
日本の「安楽椅子探偵」の代表・「退職刑事」は、やはりこのママシリーズを
参考にしているんだろうなあ。
ただ、本作は妻のシャーリーとママとの嫌味の応酬合戦がものすごく面白いです(笑
これは必読だと思います。
それと、ママの親戚の多いこと。それも問題がある人ばかり!!
一見、ママの親戚のよく分からない話で、「それが事件と何の関係が?」と
デイビットの発言させ、実は事件の真相に辿り着くための道程であるという、
お約束かつ王道を歩みつつ、どの事件も唸らせるものばかりで、
素晴らしい短編集でした。
続編もぜひ購入したいと思います。
2023年09月30日
2023年09月17日
月下美人を待つ庭で-猫丸先輩の妄言
まずはAmazonさんの紹介ページから。
先輩がいると、この世は不可思議で、たまらなく面白い。
巧みな話術のうちに意外な結論に辿り着く
謎解きの醍醐味あふれる五編を収録
名探偵・猫丸先輩の、気ままなる生活と推理。
電光看板の底に貼り付けられた不規則なアルファベットの文字列、
亡き母が残した庭にかわるがわる訪れる悪気なさそうな侵入者たち――
風変わりな名前の“先輩”は日頃ふらふらしては、愉快なことには猫のごとき目聡さで首をつっこむ。
そして、どうにも理屈の通らない謎も、彼の饒舌にかかれば、
ああだこうだと話すうちにあっという間に解き明かされていくから不思議だ。
さて、名探偵・猫丸先輩の推理は如何に。
猫丸先輩が還ってきた!
「推測」「空論」ときて、ついに「妄言」となってしまいました(笑
しかし、それでも猫丸先輩のおしゃべりは止まらない。
後輩の八木沢も登場し、相変わらずやり込められるのは、シリーズ当初からのお約束。
「ねこちゃんパズル」はこれぞ猫丸シリーズを彷彿とさせる一編。
それが最初に配してあるのは流石の一言。
本作の中で、猫丸は大きく2つの推理を披露しますが、その2つ、果たして
どちらが正しく、どちらが間違っているのか。
いや、そもそもいずれも違うかもしれない。
『五十円玉二十枚の謎』の時から、実はそこまで進歩していないのが猫丸先輩でしょうね。
この話、どうとでも取れるというのが実に上手く、それこそが猫丸シリーズの神髄なのでしょう。
「恐怖の一枚」は、場所が心霊雑誌系のアルバイトだからか、
猫丸が怖がらせるために、恐るべき推理をわざと組み立てたと、相当穿った見方を(笑
とはいえ、本作では表題作につぐ2位の秀作かと。
一見平凡な写真から、物語を一気に恐怖に包んでいく過程は流石の一言。
「ついているきみへ」。犬を一時的に攫った理由は見事の一言。言われてみれば・・・です。
この猫丸は、以前のシリーズにもある、キューピッド役をしようとしているのかも。
「海の勇者」。
この話の猫丸の推理は、全て嘘なのですが、この嘘、確かに何のために付いたのか。
バイトリーダーたる尚洋にお灸を据えるためだったのか?
それとも、大雨の中、身動きがさほど取れないので、暇つぶしなのか。
謎すぎる行動も、猫丸先輩の魅力です。
表題作「月下美人を待つ庭で」
綺麗なタイトルです。そんな庭に突如侵入者が次々現れるという奇怪な出来事に、
猫丸が理路整然とした推理を突きつける。本作愁眉。
相変わらず突拍子もない事例を持ち出すのですが(ここでは鳥居)、
それが上手い例えなので、唸るしかない。
猫丸シリーズは、短編が続いてますが、シリーズ唯一の長編『過ぎゆく風はみどり色』
だけなので、そろそろ長編が読みたいですね。
この長編、珍しく猫丸先輩がシリアスになるのですよ。
とはいえ、長短編問わず、これからもシリーズが続くことを祈念します。
先輩がいると、この世は不可思議で、たまらなく面白い。
巧みな話術のうちに意外な結論に辿り着く
謎解きの醍醐味あふれる五編を収録
名探偵・猫丸先輩の、気ままなる生活と推理。
電光看板の底に貼り付けられた不規則なアルファベットの文字列、
亡き母が残した庭にかわるがわる訪れる悪気なさそうな侵入者たち――
風変わりな名前の“先輩”は日頃ふらふらしては、愉快なことには猫のごとき目聡さで首をつっこむ。
そして、どうにも理屈の通らない謎も、彼の饒舌にかかれば、
ああだこうだと話すうちにあっという間に解き明かされていくから不思議だ。
さて、名探偵・猫丸先輩の推理は如何に。
猫丸先輩が還ってきた!
「推測」「空論」ときて、ついに「妄言」となってしまいました(笑
しかし、それでも猫丸先輩のおしゃべりは止まらない。
後輩の八木沢も登場し、相変わらずやり込められるのは、シリーズ当初からのお約束。
「ねこちゃんパズル」はこれぞ猫丸シリーズを彷彿とさせる一編。
それが最初に配してあるのは流石の一言。
本作の中で、猫丸は大きく2つの推理を披露しますが、その2つ、果たして
どちらが正しく、どちらが間違っているのか。
いや、そもそもいずれも違うかもしれない。
『五十円玉二十枚の謎』の時から、実はそこまで進歩していないのが猫丸先輩でしょうね。
この話、どうとでも取れるというのが実に上手く、それこそが猫丸シリーズの神髄なのでしょう。
「恐怖の一枚」は、場所が心霊雑誌系のアルバイトだからか、
猫丸が怖がらせるために、恐るべき推理をわざと組み立てたと、相当穿った見方を(笑
とはいえ、本作では表題作につぐ2位の秀作かと。
一見平凡な写真から、物語を一気に恐怖に包んでいく過程は流石の一言。
「ついているきみへ」。犬を一時的に攫った理由は見事の一言。言われてみれば・・・です。
この猫丸は、以前のシリーズにもある、キューピッド役をしようとしているのかも。
「海の勇者」。
この話の猫丸の推理は、全て嘘なのですが、この嘘、確かに何のために付いたのか。
バイトリーダーたる尚洋にお灸を据えるためだったのか?
それとも、大雨の中、身動きがさほど取れないので、暇つぶしなのか。
謎すぎる行動も、猫丸先輩の魅力です。
表題作「月下美人を待つ庭で」
綺麗なタイトルです。そんな庭に突如侵入者が次々現れるという奇怪な出来事に、
猫丸が理路整然とした推理を突きつける。本作愁眉。
相変わらず突拍子もない事例を持ち出すのですが(ここでは鳥居)、
それが上手い例えなので、唸るしかない。
猫丸シリーズは、短編が続いてますが、シリーズ唯一の長編『過ぎゆく風はみどり色』
だけなので、そろそろ長編が読みたいですね。
この長編、珍しく猫丸先輩がシリアスになるのですよ。
とはいえ、長短編問わず、これからもシリーズが続くことを祈念します。
2023年09月03日
死の湖畔 Murder by The Lake 三部作#2 告発(accusation) 十和田湖・夏の日の悲劇
まずはAmazonさんの紹介ページから。
死を見つめる〝赤い麦わら帽子の女〟は誰か?
この真相は、誰にも読めない!
読みすぎ注意:中町信はあなたの安眠を奪います
死を見つめる〝赤い麦わら帽子の女〟は誰か?
この真相は、誰にも読めない!
真夏の十和田湖で起きたボートの横転事故を皮切りに、次々に連続する死のドミノ倒し。
背景に深く関わる疑惑の四人の人妻たちも、飛行機墜落事故で記憶喪失の生存者一名を残し
三名が死亡。
偶然の連鎖か?それとも連続殺人か?事件の真相を記す死者からの告発の手紙が、
遺された夫たちを疑心暗鬼の闇に突き落とす。
叙述ミステリの魔術師が放つ究極の騙し絵パズル。
鹿角圀唯が主人公かつ刑事ということで、捜査と自分の妻の死の真相を探ります。
それにしても、1作目の「追憶」(田沢湖)とは違う、別の捻りが効いています。
さすが中町信先生。
容疑者がそんなに居ないにも拘わらず、十和田湖で起きたボート転落事故という1つの
事件が、妻の死に繋がっているというその筋は最後の最後まで変わりません。
しかし、この事件の「構図」とも言うのが、最後の最後に大きく変わるところが
めちゃくちゃ素晴らしかった。
序盤から、そこかしこに実はそれらしきヒントを散りばめつつ、
あくまで事件の発端は「十和田湖の転落事故」という、読者への思い込み(ミスリード)
も実に良く出来てます。
三部作、最後も楽しみにしています。

死を見つめる〝赤い麦わら帽子の女〟は誰か?
この真相は、誰にも読めない!
読みすぎ注意:中町信はあなたの安眠を奪います
死を見つめる〝赤い麦わら帽子の女〟は誰か?
この真相は、誰にも読めない!
真夏の十和田湖で起きたボートの横転事故を皮切りに、次々に連続する死のドミノ倒し。
背景に深く関わる疑惑の四人の人妻たちも、飛行機墜落事故で記憶喪失の生存者一名を残し
三名が死亡。
偶然の連鎖か?それとも連続殺人か?事件の真相を記す死者からの告発の手紙が、
遺された夫たちを疑心暗鬼の闇に突き落とす。
叙述ミステリの魔術師が放つ究極の騙し絵パズル。
鹿角圀唯が主人公かつ刑事ということで、捜査と自分の妻の死の真相を探ります。
それにしても、1作目の「追憶」(田沢湖)とは違う、別の捻りが効いています。
さすが中町信先生。
容疑者がそんなに居ないにも拘わらず、十和田湖で起きたボート転落事故という1つの
事件が、妻の死に繋がっているというその筋は最後の最後まで変わりません。
しかし、この事件の「構図」とも言うのが、最後の最後に大きく変わるところが
めちゃくちゃ素晴らしかった。
序盤から、そこかしこに実はそれらしきヒントを散りばめつつ、
あくまで事件の発端は「十和田湖の転落事故」という、読者への思い込み(ミスリード)
も実に良く出来てます。
三部作、最後も楽しみにしています。

死の湖畔 Murder by The Lake 三部作#2 告発(accusation) 十和田湖・夏の日の悲劇 (徳間文庫)
- 作者: 中町信
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2022/12/08
- メディア: 文庫