まずはAmazonさんの紹介ページから。
〈この恨みは、死んでも必ず残る。きっと、化けて出てやる。〉と書き遺して自殺した新入社員。
その後を追うように身を投げた上司。関連のなさそうな連続死の謎を
二人の女子社員が追う――(表題作)
平穏で幸福な未来を願う人々に、ある日突然、殺意が牙をむく。
先の読めない展開とまさかの結末に背筋が凍る傑作短編小説6篇。
事件の真相が明らかになるとき、凍りついた心は涙で溶かされる。
相変わらず、上手いタイトルを付けますよね。赤川次郎先生は。
幽霊が遅刻とはどういう意味なのか。草木も眠る丑三つ時、今で言う午前2時に
出ず、もっと遅く化けて出たのか?とか、タイトルだけで色々興味を惹かれてしまいます。
主人公は徳田実子、しかし探偵役は会社の後輩にあたる水木貞代。
田代という新入社員が会社への怨みを書いた遺書を書いて自殺し、
その後、実子が所属している課の大崎課長まで亡くなる。
そういえば、葬儀で田代によく似た人を見かけたが・・・果たして事件の真相は?
「子供のころ、私のヒーローは、エラリー・クイーンだったんですもの」という
貞代の台詞がよい。死んだ人間が生きていた?立て続けの自殺?
奇妙な謎にクイーンばりの名推理を発揮します。
本書所収作の愁眉は非常に難しい。ミステリ的な面では表題作と「幕間に死す」。
後者は過去の事件を解き明かす名短編で、最後に明かされる真相があまりに哀しい。
『ふたり』などに代表されるSF作品に連なるのが「相似形の明日」
これも非常に哀しい話なのですが、それ以上に不思議な話でもあります。
自分の痛みは自分で引き受ける、晴子の最後の台詞が素晴らしい。
2024年08月25日
2024年08月18日
#真相をお話しします
まずはAmazonさんの紹介ページから。
島育ちの仲良し小学生四人組。
あの日「ゆーちゅーばー」になることを夢見た僕らの末路は……(「#拡散希望」)。
マッチングアプリでパパ活。リモート飲み会と三角関係。中学受験と家庭教師。
精子提供と殺人鬼。日常に潜む「何かがおかしい」。その違和感にあなたは気づくことができるか。
新時代のミステリの旗手による、どんでん返しの五連撃。
日本推理作家協会賞受賞作を含む、傑作短編集。(解説・村上貴史)
以下、ネタバレありです。
名作揃いです。
SNS、キラキラネーム、マッチングアプリ、リモート、精子提供、Youtubeと、
現在の主要な話題、流行を全ての短編に使用していて、現在のミステリというのが
極めて強く出ています。
その意味での名作揃い。
「惨者面談」は、うーん、あえて私は「キラキラネーム」という区分で
紹介したのですが、それは名前の呼び方が本作での鍵だからです。
(別にキラキラネームは登場しません。むしろそれは「#拡散希望」ですね。)
むしろ、3名のうち、2名がその家と関係ないというところが、
現代的なのかもしれませんね。
「ヤリモク」は、そもそも「ヤリ」とは何かというところを突いた盲点的な作品。
最後に主人公にとっては、悲劇が起こりますが・・・
「パンドラ」は何とも言いようがない作品。
まあ、血液型は普通事前に確認するだろうという感想しかない。
「三角奸計」はリモート飲み会を上手く使った作品。
しかし、「ヤリモク」も「パンドラ」もそうですが、この3作品ともヤバイ人が
登場しますね。
「♯拡散希望」は、人口の少ない島で暮らす、たった4人しか居ない小学生の物語。
これは、いやあ、現実に起きていてもおかしくない話ですね。
でも、彼彼女たちの親は、子どもが大きくなった時、どうバレないように
するつもりだったのだろうか。
とてもじゃないですが、中学生になれば、さすがにわかるでしょう。
(島外に出る機会があれば、当然触れるはず。)
ある意味期間限定で、親たちはやるつもりだったのかもしれませんが、
その前にバレてしまったのか。
しかし、この島を見つけて突撃してきた人を殺害するというのが
もはや常軌を逸してますね。
でもこれも、もうフィクションです、では通らない世の中になっていると思いますが。
島育ちの仲良し小学生四人組。
あの日「ゆーちゅーばー」になることを夢見た僕らの末路は……(「#拡散希望」)。
マッチングアプリでパパ活。リモート飲み会と三角関係。中学受験と家庭教師。
精子提供と殺人鬼。日常に潜む「何かがおかしい」。その違和感にあなたは気づくことができるか。
新時代のミステリの旗手による、どんでん返しの五連撃。
日本推理作家協会賞受賞作を含む、傑作短編集。(解説・村上貴史)
以下、ネタバレありです。
名作揃いです。
SNS、キラキラネーム、マッチングアプリ、リモート、精子提供、Youtubeと、
現在の主要な話題、流行を全ての短編に使用していて、現在のミステリというのが
極めて強く出ています。
その意味での名作揃い。
「惨者面談」は、うーん、あえて私は「キラキラネーム」という区分で
紹介したのですが、それは名前の呼び方が本作での鍵だからです。
(別にキラキラネームは登場しません。むしろそれは「#拡散希望」ですね。)
むしろ、3名のうち、2名がその家と関係ないというところが、
現代的なのかもしれませんね。
「ヤリモク」は、そもそも「ヤリ」とは何かというところを突いた盲点的な作品。
最後に主人公にとっては、悲劇が起こりますが・・・
「パンドラ」は何とも言いようがない作品。
まあ、血液型は普通事前に確認するだろうという感想しかない。
「三角奸計」はリモート飲み会を上手く使った作品。
しかし、「ヤリモク」も「パンドラ」もそうですが、この3作品ともヤバイ人が
登場しますね。
「♯拡散希望」は、人口の少ない島で暮らす、たった4人しか居ない小学生の物語。
これは、いやあ、現実に起きていてもおかしくない話ですね。
でも、彼彼女たちの親は、子どもが大きくなった時、どうバレないように
するつもりだったのだろうか。
とてもじゃないですが、中学生になれば、さすがにわかるでしょう。
(島外に出る機会があれば、当然触れるはず。)
ある意味期間限定で、親たちはやるつもりだったのかもしれませんが、
その前にバレてしまったのか。
しかし、この島を見つけて突撃してきた人を殺害するというのが
もはや常軌を逸してますね。
でもこれも、もうフィクションです、では通らない世の中になっていると思いますが。
2024年08月11日
花嫁、街道を行く
まずはAmazonさんの紹介ページから。
彼女はどこへ行った?
事件は日本からドイツへ!
ひょんなことから探偵事務所を開くことになった女子大生・亜由美。
そこへ、行方不明になったツアコンの久美子を探して欲しいと依頼が舞い込む。
手がかりを探し、たどりついたのは、ある国の大使館。久美子を発見するが、
事件は思わぬ方向へ展開し、舞台はドイツ・ロマンチック街道へ!
表題作ほか「あの夜の花嫁は、今」を収録。シリーズ第35弾。
シリーズも35弾ですか。赤川先生のはどれも長寿シリーズが多いですよね。
最近は大貫警部シリーズの新作が出ないので、かなり残念なのです。
本作も前作と同じく、この表題作は誰が花嫁なのか、よくわからず(笑
たぶん久美子がなるんだろうなという、少々かなりの想像を含みますが、
花嫁シリーズでなく、ノン・シリーズでもおかしくない。
最後の大団円的なところは、いくらなんでもあり得ないだろう!と
(ドイツへ行く過程も含め)思いますが、そこが赤川作品の面白さでもあります。
花嫁シリーズという意味では、「あの夜の花嫁は、今」の方が遥かにシリーズらしい。
しかも最後には2名も花嫁候補も登場しますからね。
ホテルの支配人である柳田が仕事を頼む半田や辻口、柳田はともかく、辻口は
中々面白い。さらに赤川作品の常連的な人物かもしれないベルボーイの大倉佑太も
良いキャラです。
でも大団円でないところ(いい意味で)がさらに面白いですね。
亜由美ももちろん主人公らしく頑張るのですが、本作では佑太としのぶの活躍には
及びません。この二人のちょっとした珍道中もよいのです。
谷川准教授との関係が、もう破局なのかそれとも・・・この辺りはぜひ描いてほしいです。
彼女はどこへ行った?
事件は日本からドイツへ!
ひょんなことから探偵事務所を開くことになった女子大生・亜由美。
そこへ、行方不明になったツアコンの久美子を探して欲しいと依頼が舞い込む。
手がかりを探し、たどりついたのは、ある国の大使館。久美子を発見するが、
事件は思わぬ方向へ展開し、舞台はドイツ・ロマンチック街道へ!
表題作ほか「あの夜の花嫁は、今」を収録。シリーズ第35弾。
シリーズも35弾ですか。赤川先生のはどれも長寿シリーズが多いですよね。
最近は大貫警部シリーズの新作が出ないので、かなり残念なのです。
本作も前作と同じく、この表題作は誰が花嫁なのか、よくわからず(笑
たぶん久美子がなるんだろうなという、少々かなりの想像を含みますが、
花嫁シリーズでなく、ノン・シリーズでもおかしくない。
最後の大団円的なところは、いくらなんでもあり得ないだろう!と
(ドイツへ行く過程も含め)思いますが、そこが赤川作品の面白さでもあります。
花嫁シリーズという意味では、「あの夜の花嫁は、今」の方が遥かにシリーズらしい。
しかも最後には2名も花嫁候補も登場しますからね。
ホテルの支配人である柳田が仕事を頼む半田や辻口、柳田はともかく、辻口は
中々面白い。さらに赤川作品の常連的な人物かもしれないベルボーイの大倉佑太も
良いキャラです。
でも大団円でないところ(いい意味で)がさらに面白いですね。
亜由美ももちろん主人公らしく頑張るのですが、本作では佑太としのぶの活躍には
及びません。この二人のちょっとした珍道中もよいのです。
谷川准教授との関係が、もう破局なのかそれとも・・・この辺りはぜひ描いてほしいです。
2024年08月03日
天狗屋敷の殺人
まずはAmazonさんの紹介ページから。
「これだから小説は面白い。」道尾秀介、お墨付き!
棺から消えた当主の遺体、天狗の毒矢、山奥の怪事件に秘められた“ありえない”規格外の“謎”
全ミステリファン瞠目の「新潮ミステリー大賞の隠し玉」
ヤンデレな恋人・翠に、婚約者として無理やり連れていかれた彼女の実家は、
山奥に立つ霊是(りょうぜ)一族の“天狗屋敷”だった。失踪した当主の遺言状開封、
莫大な山林を巡る遺産争い、棺から忽然と消えた遺体。
奇怪な難事件を次々と解き明かすのは、あやしい「何でも屋」さん!?
「いつかまた会えたらいいね」――夏が来るたび思い出す、
あの陰惨な事件と、彼女の涙を。横溝正史へのオマージュに満ちた、ミステリの怪作。
「分からんのか? つまり、犬神家状態ってわけだよ!」
以下、ややネタバレです。
「分からんのか?つまり、犬神家状態ってわけだよ!」
この台詞に惹かれて購入しました(笑
犬神家状態!それで通じるのがミステリ好きという。
「新潮ミステリー大賞」というのは初めて知りました。
もう10年ですから、そこそこの歴史ですよね。
本書は、2023年の第10回の最終候補(つまり大賞受賞作品ではない)ものを
文庫で刊行されたという、(社内でどういう協議がされたのか不明ですが)
中々すごいですね。
ワトソン役である古賀鳴海の彼女である平澤翠。今度本家にて、遺産相続にかかる
遺言書が開封されるという。鳴海のバイト先である<なんでも屋>樋山忍も、
上記の台詞を発し、適当な理由をつけて同行することに。
遺言書が開封された後に起こる奇怪な殺人事件。
果たして犯人は?
という感じでしょうか(苦笑・すいません)
まず、翠という女性の方が怖い(笑)
鳴海にかつての自分が体験(やったであろうこと)を語るのですが、それがあるとしても、
行動が恐ろしい。最後は幸せな姿を鳴海と忍に見せてくれるのですが、
夫となる方は、やっていけるのかなあ・・・
(事件解決後に、雰囲気が変わった描写はありますが)
横溝正史先生へのオマージュにあふれたとありますが、
それはこの旧家の霊是家と遺言書。トリックは島田荘司御大の奇想天外・大がかりなトリック
へのオマージュだと思います。
ただし、このトリックは犯人の告白を読めば「プロバビリティ-の犯罪」であることが
判明します。ここは結構捻ってるなあと思いました。
問題なのは、このトリックは詳しく説明されているのですが、図がないのが致命的。
2つめの殺人のトリックは、絵図付き解説がないと、かなり難解(というかわからん)。
犯人はほぼ(アリバイは考えずとも)分かると思います。
動機はあれだろうと見当が付くので。
ところがこれも動機という面では、強固かと思いきや、犯人の告白では全然動機も
実は無いというオチ。
(だからこその「プロバビリティーの犯罪」なのですが)。
次は「7人ミサキ連続殺人事件」だそうなので(タイトル的に興味深い・笑)、
こちらも、もし刊行されたら読んで見たいと思います。
「これだから小説は面白い。」道尾秀介、お墨付き!
棺から消えた当主の遺体、天狗の毒矢、山奥の怪事件に秘められた“ありえない”規格外の“謎”
全ミステリファン瞠目の「新潮ミステリー大賞の隠し玉」
ヤンデレな恋人・翠に、婚約者として無理やり連れていかれた彼女の実家は、
山奥に立つ霊是(りょうぜ)一族の“天狗屋敷”だった。失踪した当主の遺言状開封、
莫大な山林を巡る遺産争い、棺から忽然と消えた遺体。
奇怪な難事件を次々と解き明かすのは、あやしい「何でも屋」さん!?
「いつかまた会えたらいいね」――夏が来るたび思い出す、
あの陰惨な事件と、彼女の涙を。横溝正史へのオマージュに満ちた、ミステリの怪作。
「分からんのか? つまり、犬神家状態ってわけだよ!」
以下、ややネタバレです。
「分からんのか?つまり、犬神家状態ってわけだよ!」
この台詞に惹かれて購入しました(笑
犬神家状態!それで通じるのがミステリ好きという。
「新潮ミステリー大賞」というのは初めて知りました。
もう10年ですから、そこそこの歴史ですよね。
本書は、2023年の第10回の最終候補(つまり大賞受賞作品ではない)ものを
文庫で刊行されたという、(社内でどういう協議がされたのか不明ですが)
中々すごいですね。
ワトソン役である古賀鳴海の彼女である平澤翠。今度本家にて、遺産相続にかかる
遺言書が開封されるという。鳴海のバイト先である<なんでも屋>樋山忍も、
上記の台詞を発し、適当な理由をつけて同行することに。
遺言書が開封された後に起こる奇怪な殺人事件。
果たして犯人は?
という感じでしょうか(苦笑・すいません)
まず、翠という女性の方が怖い(笑)
鳴海にかつての自分が体験(やったであろうこと)を語るのですが、それがあるとしても、
行動が恐ろしい。最後は幸せな姿を鳴海と忍に見せてくれるのですが、
夫となる方は、やっていけるのかなあ・・・
(事件解決後に、雰囲気が変わった描写はありますが)
横溝正史先生へのオマージュにあふれたとありますが、
それはこの旧家の霊是家と遺言書。トリックは島田荘司御大の奇想天外・大がかりなトリック
へのオマージュだと思います。
ただし、このトリックは犯人の告白を読めば「プロバビリティ-の犯罪」であることが
判明します。ここは結構捻ってるなあと思いました。
問題なのは、このトリックは詳しく説明されているのですが、図がないのが致命的。
2つめの殺人のトリックは、絵図付き解説がないと、かなり難解(というかわからん)。
犯人はほぼ(アリバイは考えずとも)分かると思います。
動機はあれだろうと見当が付くので。
ところがこれも動機という面では、強固かと思いきや、犯人の告白では全然動機も
実は無いというオチ。
(だからこその「プロバビリティーの犯罪」なのですが)。
次は「7人ミサキ連続殺人事件」だそうなので(タイトル的に興味深い・笑)、
こちらも、もし刊行されたら読んで見たいと思います。