そして近年ではクローズドサークルを舞台とした「インシテミル」など多彩な作品で有名な米澤穂信さん。
本作は「紺屋S&R」シリーズと題して発表された<犬探し>専門の探偵・紺屋長一郎が挑む事件。
<犬探し>専門であるはずなのに、舞い込むものは失踪人探しと古文書の解読・・・
しかし一見関係のない事件が意外な形でリンクしていきます。
主人公である紺屋がこの探偵事務所を始めるきっかけ、なぜ<犬探し>なのか
そのあたりの経緯も語られます。
彼に探偵としての自覚が芽生えるのは物語のクライマックス。
が、そのラストは今まで読んだミステリの中でも、最も意外な結末でした・・・
依頼は達成できたものの、彼にとっては満足いかない結末だったでしょうねえ・・・
この小説のもうひとつのおもしろさはパソコンのチャットの描写。
そこに登場する「GEN」は本作もう一人の探偵と言えるでしょう。
紺屋は彼からのアドバイスや彼との会話の中から事件の謎に迫っていきます。
ああ、もうひとり居ました(笑)突然やってきて所員にしてくれと言った後輩の半田平吉、通称ハンペー
彼は古文書の解読事件を担当しますが、探偵としての能力は十分にあります。
が、なにか抜けている気がする。なぜ名前が出ているのに伝えない!(笑
本作に留まらずぜひシリーズとして続けていってもらいたいものです。
そして、いつか<犬探し>の事件に出会えることを祈ります。
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