クリスティの古典的傑作「そして誰もいなくなった」、
この作品が後のミステリに与えた影響は計り知れません。
あえて語るまでもなく、傑作ですよね。
名門女子校の式典の最中、演劇部による
『そして誰もいなくなった』の舞台上で、服毒死する役の生徒が
実際に死亡した。
そしてその後も部員たちが芝居の筋書き通りの順序と
順番で殺されていく・・・
誰が、何のために?!
演劇部部長の江島小雪は顧問の向坂典子とともに
姿無き犯人に立ち向かうが・・・
色々とご批判もあるのだろうなと思うのですが、
かなり僕は楽しめました。
このタイトルの意味、最後まで読んでようやくわかりました(笑
いやあ、単なるクリスティへのオマージュ、ではなく、
そこにしっかりとした意味があるというのは良かったです。
なぜ見立て殺人を行うのか?
という所には常に疑問を持って当たらなければならない。
この物語の中でとある人物が見事に看破してますが、
このトリックが見破れれば、犯人もわかるという。
これって、見立てをメイントリックとしている作品には
おおよそ当てはまりそうですよね。
個人的には、高城がどこまで真相を見抜いていたのか
(物語上は全くわかっていないっぽい感じですが)
なんだかおおよそは検討ついてたんじゃないかと勝手に想像。
どうしてもクリスティのものと比較や亜流のように
タイトルから感じてしまうかも知れませんが、
物語はそんな単純ではなく、しっかり作り込まれてます。
最後の最後まで楽しませてくれた作品でした。
2012年01月22日
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これ、クリスティのオマージュ作品ということで、前から気になってはいるのですが、
でも今邑さんだよな~とちょっと慎重になっています(^^;)
今邑作品は2作読んだのですが、期待を裏切られた印象があって・・・。
批判も色々あるのですね。やっぱりそうなのかな。
でも怖いもの見たさで読んでみたい気もします(笑)
確か、夏樹静子さんが「そして誰かいなくなった」という作品を書かれていましたね。
翠香さまの今邑さんの記事を読ませて頂きました。
「ルームメイト」は未読なのでわかりませんが、
「七人の中にいる」は確かに犯人すぐわかりますよね(苦笑
今邑さんのは最近一斉に中公文庫で復刊が
始まったからか、やたらと帯で推してくるなあとは
思ってます。
本作はクリスティのオマージュとして読むというより、
純粋に1つのミステリとして読んだ方が楽しめると
思います。
ちなみに、まだ復刊していない「金雀枝荘の殺人」
はオススメです。
夏樹さんの著作は実はまだ一度も読んだ事が
ないんですよねえ。お恥ずかしい。
西村京太郎さんの「殺しの双曲線」も
クリスティをかなり意識された作品だったと
記憶してます。
ポワロのABCもアンソロジーが出てますし、
やはりクリスティは偉大ですね。