2012年01月22日

そして誰もいなくなる

クリスティの古典的傑作「そして誰もいなくなった」、
この作品が後のミステリに与えた影響は計り知れません。
あえて語るまでもなく、傑作ですよね。

名門女子校の式典の最中、演劇部による
『そして誰もいなくなった』の舞台上で、服毒死する役の生徒が
実際に死亡した。
そしてその後も部員たちが芝居の筋書き通りの順序と
順番で殺されていく・・・
誰が、何のために?!
演劇部部長の江島小雪は顧問の向坂典子とともに
姿無き犯人に立ち向かうが・・・

色々とご批判もあるのだろうなと思うのですが、
かなり僕は楽しめました。

このタイトルの意味、最後まで読んでようやくわかりました(笑
いやあ、単なるクリスティへのオマージュ、ではなく、
そこにしっかりとした意味があるというのは良かったです。

なぜ見立て殺人を行うのか?
という所には常に疑問を持って当たらなければならない。
この物語の中でとある人物が見事に看破してますが、
このトリックが見破れれば、犯人もわかるという。
これって、見立てをメイントリックとしている作品には
おおよそ当てはまりそうですよね。

個人的には、高城がどこまで真相を見抜いていたのか
(物語上は全くわかっていないっぽい感じですが)
なんだかおおよそは検討ついてたんじゃないかと勝手に想像。

どうしてもクリスティのものと比較や亜流のように
タイトルから感じてしまうかも知れませんが、
物語はそんな単純ではなく、しっかり作り込まれてます。
最後の最後まで楽しませてくれた作品でした。


そして誰もいなくなる (中公文庫)

そして誰もいなくなる (中公文庫)

  • 作者: 今邑 彩
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2010/04
  • メディア: 文庫
posted by コースケ at 22:35| Comment(5) | TrackBack(0) | 今邑彩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
31さま、nice!ありがとうございます!
Posted by コースケ at 2012年01月23日 20:59
こんばんは。
これ、クリスティのオマージュ作品ということで、前から気になってはいるのですが、
でも今邑さんだよな~とちょっと慎重になっています(^^;)
今邑作品は2作読んだのですが、期待を裏切られた印象があって・・・。
批判も色々あるのですね。やっぱりそうなのかな。
でも怖いもの見たさで読んでみたい気もします(笑)
Posted by 翠香 at 2012年01月23日 23:32
「そして誰もいなくなった」の影響力は大きいですよね〜。
確か、夏樹静子さんが「そして誰かいなくなった」という作品を書かれていましたね。
Posted by Yuseum at 2012年01月24日 20:08
翠香さま、コメントありがとうございます。

翠香さまの今邑さんの記事を読ませて頂きました。
「ルームメイト」は未読なのでわかりませんが、
「七人の中にいる」は確かに犯人すぐわかりますよね(苦笑

今邑さんのは最近一斉に中公文庫で復刊が
始まったからか、やたらと帯で推してくるなあとは
思ってます。
本作はクリスティのオマージュとして読むというより、
純粋に1つのミステリとして読んだ方が楽しめると
思います。

ちなみに、まだ復刊していない「金雀枝荘の殺人」
はオススメです。
Posted by コースケ at 2012年01月24日 23:39
Yuseumさま、nice!&コメントありがとうございます。

夏樹さんの著作は実はまだ一度も読んだ事が
ないんですよねえ。お恥ずかしい。

西村京太郎さんの「殺しの双曲線」も
クリスティをかなり意識された作品だったと
記憶してます。

ポワロのABCもアンソロジーが出てますし、
やはりクリスティは偉大ですね。
Posted by コースケ at 2012年01月24日 23:43
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