これが現職最後の担当事件か??松谷警部が駆けつけた現場は
両国国技館から歩いて行ける距離にあった。被害者の十両力士は胸部を刺されており、
傍らに「コノ者、相撲道ニ悖ル」と印刷された紙片が。
捜査が進むなか先輩格の力士が相次いで殺害され、同じメッセージが残っていた。
狭い社会の出来事で関係者も限られるが、三件全部にアリバイのない者はおらず、
動機やメッセージの真意も定かではない。迫る定年の日。苦心惨憺の末、
白石巡査部長が真相に至ったのは、実に松谷警部の退職二日前だった!
特別ゲストが警部の退職に花を添えるシリーズ完結編。
本作が松谷警部と白石以愛巡査部長シリーズ完結編、に
なるんでしょうね。
なんといっても事件の関係者に筆者のかつてのシリーズ探偵
に由来ある人物まで登場しますから。
本作も徹底した「アリバイ崩し」。
まさに詰み将棋。
イアイ巡査(巡査部長)の推理は、いくつもの
証言から何度も何度も再構築される所が一番の読み所。
最初の事件が一番驚きましたね。
この事件がなぜ起きたのか、この謎解きが愁眉。
それと、シリーズを結びつける人物の登場。
これが実はシリーズ大団円の演出だけかと思いきや・・・
ここで筆者はその演出だけに読者の目を逸らしているのでしょう。
ここも素晴らしい。
最後の最後に「更級ニッキ」と再会を果たした松谷警部。
自費出版で俳句集も出すのかなあ。
筆者の次のシリーズに期待します。
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