九月の朝、風ヶ丘図書館の開架エリアで死体が発見された。被害者は常連利用者の男子大学生。
閉館中の館内に忍び込み、山田風太郎の『人間臨終図巻』で何者かに撲殺されたらしい。
現場にはなんと、二つの奇妙なダイイングメッセージが残されていた!
警察に呼び出された裏染天馬は独自の捜査を進め、一冊の本と一人の少女の存在に辿り着く。
一方、風ヶ丘高校では期末テストにまつわる騒動が勃発。袴田柚乃たちは事件とテストの二つに
振り回されることになり……。
ロジカルな推理と、巧みなプロットで読者を魅了する〈裏染天馬シリーズ〉第4弾。
青崎さんの<館>シリーズ第4弾。
ダイイングメッセージなど意味がないと断言する天馬。
その言葉の裏には、相変わらず極めて合理的かつ精緻な推理が構築されており、
かつ、犯人である条件を一つずつ、まさに理詰めで構築していく様はお見事。
犯人は今までのシリーズの中でもかなり意外な感じでした。
ただし、天馬の推理は相変わらずですが、今回いきなり警察は天馬を招集したのは
情けない。いやもう物語の都合上なのかもしれませんけど。
柚乃との「仲」も別に双方ともに何も思っていない(?)ので、どうにかなるわけでも
ないのでしょうけど、微妙な感じがもどかしい気もします。
また柚乃が天馬の過去に迫っていきますが、この話はそこまで掘り下げる必要が
あるのだろうかと思います。まだ高校生だしなあ・・・
偏屈な探偵、というのを創り上げた時点で、中々本格+青春ミステリとはいかないものの、
重心を過去よりも柚乃との関係に置いてほしいと思うのは私だけでしょうか。
次の<館>はどこになるのでしょうか?
そろそろ閉ざされた館や孤島の館が登場するのを少し期待しています。
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