大晦日の夜。連続無差別殺人事件の唯一の生存者、梢絵を囲んで推理集団“恋謎会”の面々が集まった。
四年前、彼女はなぜ襲われたのか。犯人は今どこにいるのか。ミステリ作家や元刑事などのメンバーが、さまざまな推理を繰り広げるが…。ロジックの名手がつきつける衝撃の本格ミステリ、初の文庫化。
以下、ややネタバレ。
多重解決ものの様相を裏表紙解説文などでは感じられ、特に本書では、
推理集団「恋謎会」の存在が特筆される存在でしょう。
ところが、、、です。
確かに本書の大半はこの「恋謎会」のメンバーの推理が占めているのですが、
彼彼女らの推理が微妙なラインをいくんですよねえ、これが。
それは良い意味でも悪い意味でも微妙なんです(笑
被害者の繋がりなど絶妙なヒント(というか調査)を報告する人とかも居て、
なるほどと思わせつつも、実際の事件の解決には至らず。
本書はいわゆる「どんでん返し」の作品なのでしょうが、
確かにこのラストはさすが西澤保彦先生と思わせるものがあります。
しかし、上記「恋謎会」とこのラストを結びつけるのがちょっと弱すぎるのではないかと
感じました。最後に推理を披露する人物は、確かに「恋謎会」でのディスカッションを
聞いて、真相に到達するのですが、もっと繋がりを持たせてほしかったなあと。
ラストは新たなミッシングリンクに基づき殺人を行っていく犯人の決意が語られる
のですが、ここは動機というホワイダニットを考える上でとても興味深かったですね。
【関連する記事】