2020年04月05日

儚い羊たちの祝宴

まずはAmazonさんの紹介ページから。

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、
会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、
四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。
甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、
脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。

かなり前にでた(ある意味)連作短編集ですが、
そういえば未読だったので、購入してみました。

さてややネタバレしつつ感想を。




「最後の一撃」「どんでん返し」とは本書のためにある用語なのかもしれません。
「バベルの会」は確かに各短編に登場するのですが、実は意外と繋がりは弱い。
1つずつの物語で、「バベルの会」についてそれほど深く言及されているものはないものの、
最終話「儚い羊たちの祝宴」への繋がりはしっかり担保されているところはさすが。

「身内に不幸がありまして」は、まず動機を突き止めることは不可能でしょう。
そしてこれほど短編の内容を示した表題作もないのでは。

「北の館の罪人」は同じ境遇下にあるかのような2人の物語と思いきや・・・
しかもその目論見をも見抜いていた六綱早太郎のある仕掛けが見事です。

「山荘秘聞」、この作品は屋島守子にはやや同情してしまう点もありますね。
もっとも資産家がどういう思考なのかなど、知る由もありませんが・・・
ところで、ベッド数などからある推理を導いた歌川ゆき子は見事の一言。
変わったお肉、が上手いミスリードなのですが、さらに後に出てきた“煉瓦のような塊”
とは何だったのか・・・異様な恐ろしさは続きます。

「玉野五十鈴の誉れ」は、本当に「最後の一撃」をラストに持ってくるために
構成されたかのような物語。残酷さでは群を抜いています。
しかし、小栗純香の命が助かったのはよかった。

最終話「儚い羊たちの祝宴」、「実際家」である大寺鞠絵による、「バベルの会」の
消滅を描いた話。しかし、最後に再び羊たちが集まりそうな場面が描かれる所で終幕。

どの話も、「バベルの会」は出てくるものの、その会をメインとした話は実は無いんですよね。
そして、ここで描かれた人々は、最後の<アミルスタン羊>の難は逃れたのでしょうか?






儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)

儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)

  • 作者: 米澤 穂信
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2011/06/26
  • メディア: 文庫
posted by コースケ at 18:54| Comment(9) | 米澤穂信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
鉄腕原子さま、nice!ありがとうございます!
Posted by コースケ at 2020年04月09日 21:44
ストックン様、nice!ありがとうございます!
Posted by コースケ at 2020年04月09日 21:45
@ミックさま、nice!ありがとうございますm(_ _)m
Posted by コースケ at 2020年04月09日 21:46
ゆーじあむ様、nice!ありがとうございます!
Posted by コースケ at 2020年04月09日 21:47
ネオ・アッキー様、nice!ありがとうございます!
Posted by コースケ at 2020年04月09日 21:47
むうぴょんこ様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
Posted by コースケ at 2020年04月09日 21:48
31様、nice!ありがとうございます!
Posted by コースケ at 2020年04月09日 21:49
tarouさま、nice!ありがとうございます!
Posted by コースケ at 2020年04月11日 16:03
takaさま、nice!ありがとうございますm(_ _)m
Posted by コースケ at 2020年04月11日 16:08
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