2021年05月03日

誘拐リフレイン 舞田ひとみの推理ノート

まずはAmazonさんの紹介ページから。

引きこもりの少年・馬場由宇は、近所に住む大久保家の幼児虐待を疑っていた。
ある日、件の幼児、真珠を炎天下の車内から助け出し、弾みで自宅に連れ帰ることに。
だが、目を離した隙に、何者かが真珠を連れ去ってしまった!困り果てた由宇は、
いくつもの難事件の解決に関わった友人、舞田ひとみに助けを求める。
しかし、ひとみの推理で一度解決したかに見えた事件は思わぬ形に変貌していき…。
謎が謎を呼ぶ誘拐ミステリ!

光文社文庫から刊行されていた舞田ひとみシリーズが、角川文庫に移って復活!
第1作「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」が2010年。
第2作「舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵」

が2013年刊行で、
なんと第3弾刊行に(文庫化まで)9年もの歳月が流れました。
ひとみも17歳、高校生になりました。
前2作が短編集であったのにたいし、本作は初の長編。
叔父の舞田歳三、母の野々島愛も登場します。一方で父親は全く登場せず!
思春期の多感な年頃というのを反映しているのでしょうか。

本作、ミステリとして見ると、誘拐事件の解決はひとみの名推理が見事です。
一方で、ひとみの成長物語としてみると、少し悲しい側面も見えますね、
また、最大の問題は、実質的主人公の馬場由宇でしょうね。
こいつがどうしようもない。自分で判断しない、良い方向にばかり考える、そして
何もしない、ひとみを頼るのみ。
読んでいてここまでイライラするのは久しぶりです。
特に、最後の「かなり長めのエピローグ」は、ひとみがひょっとしたら彼のために
身の危険が相当あったのに、ほとんど危機感を感じていないのがあまりに人ごとすぎる。

ひとみ自身は彼の生い立ちと自分の生い立ちをみて、自分と同じ不幸な17歳、自分は
馬場から明日を生きる力をもらっていると。
彼女自身が納得してるなら良いのですが、読んでるこっちは納得いかん!と怒りを
覚えてしまいました(苦笑

しかし、本作で推理を披露していた頃の自分を「黒歴史」と呼んでいますが、
次作、おそらく3年後、彼女が20歳(つまり大学生)になったとき、
はたしてどういう心境になっていて、どんな生き方をしているのか、
それもまた楽しみなのです。

今回角川からの出版に変更になったことで、過去作がリニューアルして登場していますが、
ぜひ第4弾も期待してます。
しかし、角川文庫からシリーズが登場するのは良いのですが、
タイトルは光文社文庫の方がいいなあ。
本作も原題「コモリと子守り」は秀逸過ぎる。


誘拐リフレイン 舞田ひとみの推理ノート (角川文庫)

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  • 作者: 歌野 晶午
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/11/21
  • メディア: 文庫



名探偵は反抗期 舞田ひとみの推理ノート (角川文庫)

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  • 作者: 歌野 晶午
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2021/05/21
  • メディア: 文庫



名探偵、初心者ですが 舞田ひとみの推理ノート 舞田ひとみシリーズ (角川文庫)

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  • 作者: 歌野 晶午
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  • 発売日: 2021/02/25
  • メディア: Kindle版




posted by コースケ at 22:48| Comment(6) | 歌野晶午 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
鉄腕原子様、nice!ありがとうございます!
Posted by コースケ at 2021年05月04日 22:36
@ミック様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
Posted by コースケ at 2021年05月04日 22:36
xml_xslさま、nice!ありがとうございます!
Posted by コースケ at 2021年05月04日 22:36
サイトー様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
Posted by コースケ at 2021年05月04日 22:37
むうぴょんこ様、nice!ありがとうございます!
Posted by コースケ at 2021年05月18日 16:32
31さま、nice!ありがとうございますm(_ _)m
Posted by コースケ at 2021年05月18日 16:32
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