人間は空を飛べるはずだ、と日頃主張していた幻想画家が、4階にあるアトリエから奇声と共に姿を消した。そして4日目、彼は地上20メートルの電線上で死体となっていた。しかも黒い背広姿、両腕を大きく拡げ、まさに空飛ぶポーズで! 画家に何が起きたのか? 名探偵・御手洗潔が奇想の中で躍動する快作ぞろいの短編集。
またまた間隔が空いてしまいました。
『挨拶』に続く第2弾。
こちらも良作揃いです。
「山高帽のイカロス」は、犯人にとっても予想外な事が起き、
まさに被害者が「浮遊した」「飛行した」とした思えない状況に。
より面白いのは「舞踏病」。
自宅の2階の下宿人が、どうやら「狐つき」らしい・・・
そんな奇妙な謎を持ってこられて、うごかないはずがない!
本作では、御手洗の医療に関する考えなども伺う事ができ、
後々の天才御手洗潔(この時点で天才ですが)の片鱗を垣間見ることが出来ます。
トリックの面白さならば「ある騎士の物語」。かつて藤原宰太郎さんの、
『世界の名探偵50人』とその続編を読んだことがあるのですが、
そこにバッチリと、この事件のトリックがネタバレされてました(苦笑
当時はまだ小学生くらいで、御手洗シリーズを読んでいませんでしたので、
余り気にしませんでしたが、改めて読んで見て、ああ、そういえばと思い出しました。
エキセントリックな言動とともに、極めて不可思議、奇妙な事件を解き明かすのが、
やはり御手洗潔だなあと、改めて思いました。
落ち着いた御手洗より、やはり好きですね。

世界の名探偵50人―あなたの頭脳に挑戦する 推理と知能のトリック・パズ (ワニ文庫 A- 20)
- 作者: 藤原 宰太郎
- 出版社/メーカー: ベストセラーズ
- 発売日: 1984/01/01
- メディア: 文庫

続 世界の名探偵50人―知的興奮をもう一度 推理と知能のトリック・パズル (ワニ文庫)
- 作者: 藤原 宰太郎
- 出版社/メーカー: ベストセラーズ
- 発売日: 1993/12/01
- メディア: 文庫