大学院で社会学研究科を目指して研究を続けている大学四年生の勝山裕。
卒研グループの飲み会に誘われた彼は、その際に出た都市伝説に興味をひかれる。
上州の村では、二重丸が書かれた紙がいたるところに貼られているというのだ。
この蛇の目紋は何を意味するのか? ちょうどその村と出身地が近かった裕は、
夏休みの帰郷のついでに調査を始めた。偶然、図書館で司書のバイトをしていた
昔なじみの飯山香織と出会い、ともにフィールドワークを始めるが、
調査の過程で出会った少年から不穏な噂を聞く。その村では少女が監禁されているというのだ!
謎が謎を呼ぶ。その解明の鍵は古文書に……?
主人公裕は、膨大な古文書のデータの中から上州に伝わる子間引きの風習や毛利神社や
琴平神社の社名に注目し、資料と格闘する。裕がそこまでするには理由があった。
父が決して語らなかった母親の系譜に関する手がかりを見つけるためでもあったのだ。
大した成果が得られぬまま、やがて夏も終わりに近づくころ、
巣守郷を独自調査していた少年・淳が警察に補導されてしまう。
郷に監禁された少女を救おうとする淳と、裕の母親の出自を探す道が交差する時――。
宮部みゆき、東雅夫、東えりか、杉江松絶賛の、
前代未聞の伝奇ホラーミステリーにして青春ラブストーリー!
感動のラストまで目が離せない、超弩級エンターテインメント。
感動のラストという解説文が付いてますが、本作のミステリ的側面が
一番強かったのが、このいわゆる「最後の一撃」だと思いました。
というのも、ある程度の結末が見えているものの、
それを、言ってみればいわゆる「状況証拠」で固めていく過程が、
本書は続いていきます。
古文書の捜索と解読、そして伝承・口承(こちらは協力得られてませんが)、
歴史学(文献史学)と考古学、そして民俗学、これらの学問手法を用いて、
蛇の目紋と、さらにその先の謎を解いていきます。
私個人は、この謎解きはそれなりに楽しめたのですが、
人を選ぶミステリというか、小説ですねえ。
個人的には解説にあるように、飯山香織とのラブストーリーというのが
一番しっくりくるかもしれません。
二人の関係進展が真相より楽しみでした(笑)
しかし、上州のどこなのか・・・あんなに方言は出ないだろう。
そこがものすごく違和感を感じました。
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