この町の誰が”顔を変えた殺人者”なのか?
時は、戦後間もない昭和22年。
東京で亡き父の事務所を継いだ私立探偵の川宮兄妹は、
依頼を受けて滋賀県の双竜町に赴く。
依頼主は、地元随一の製糸会社を営む占部家の先代社長夫人。
専務の武彦が双子の兄である現社長の文彦に恨みを抱き、殺害を目論んでいるのだという。
武彦は女子工員の小夜子に恋をしていたが、
彼女は町中に中傷の手紙がばらまかれたことを苦に自殺。
兄の仕業だと思い込んだ武彦は姿をくらまし、整形手術を受けて顔を変え、
別人になりすまして双竜町に戻っている。
「なぜ顔を変えたかわかるか? お前の近くにいる」
川宮兄妹の使命は、武彦を探し出し、文彦の命を守ること。
しかし、琵琶湖のほとりに建つ巨大な洋館に招かれ、寝ずの番にあたった矢先、
文彦は惨殺されてしまう――
果たして誰が”武彦”なのか。
本格ミステリの名手による傑作が、待望の文庫化!
しばらく間隔が空いてしまいました。
やっと読めました!
阿津川辰海先生の解説や旧版(改稿前版)も読んで比較して欲しいとありますが、
旧版が全然手に入らない作品なんですよね。
それだけに私にとっては幻の作品で、復刊(改稿版)が読めて、本当によかった。
いわゆる「ノックスの十戒」の、双子が登場する作品ですが、
本作は当然、最初にそれを堂々と明らかにすることで、ノックスの十戒をきちんと踏まえ、
それでいて、西村京太郎御大の『殺しの双曲線』と双璧をなす作品といって過言では
ありません。
双子である、整形して顔を変える、これらの事実は早々に明らかにされるのです。
ところが、本作最大のトリックはこの最初に明かされる事実の中に潜ませているという
のが、本作最大の愁眉であり、面白さ。
戦後すぐという時代だからこそのトリックともいえるかもしれません。
探偵役である川宮兄妹。シリーズ化してほしいです。
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