エラリー・クイーンや江戸川乱歩が認めた傑作など、
巨匠の逸品6編を収める必読の短編集!
全収録作品新訳・初訳
一夜のうちに発生した三人の変死事件。不可解な事態の真相が鮮やかに明かされる「三人の死体」。
奇妙な味わいが忘れがたい「鉄のパイナップル」。
不思議な能力を持つ孤独な教師の体験を描く表題作。
そして〈クイーンの定員〉に選ばれた幻の「フライング・スコッツマン号での冒険」など、
『赤毛のレドメイン家』で名高い巨匠の傑作六編を収める、いずれも初訳・新訳の短編集!
解説=戸川安宣
タイトルに惹かれて購入しました。
表題作は、主人公であるジェーンの奇妙な能力から、
かつてデヴォンに存在していた「孔雀屋敷」で起きた、奇妙な事件が
フラッシュバックするところから始まります。
色々な噂が流れつつも、ジェーンの見た光景こそが真実なのか。
グッドイナフ将軍との問答で物語は進みますが・・・
これは最後の予期せぬ形で真相が明らかになるのが見事で、
読者は、ジェーンの見た光景の青年=将軍であると、薄々は感づいているものの、
それがジェーンの前に明らかになる事実がお見事。
「鉄のパイナップル」。これは奇妙すぎる作品ですね。
あることに固執してしまうジョン・ノイ。それが極限まで行ってしまったことにより、
あろうことか、窃盗と殺人まで犯してしまうという。
ところが、この被害者がある事件の逃亡者であることが判明するというオチ。
今ならば、何らかの病名や障害の名称が付くのかなと、今日的な考えをしてしまいましたが、
一方で、鉄のパイナップルとはどういう飾りなのかなあ・・・
「ステパン・トロフィミッチ」は消えた凶器の先駆的作品でもあるのではないでしょうか。
彼の生涯は非常に過酷ですが、そこへ上手くミステリを混ぜているのが秀逸です。
「三人の死体」は、いやあ、デュヴィーンの推理が余りにも素晴らしいですねえ。
ヘンリーの気持ちは、分からないでもないところが、このミステリの肝でもあると
思いました。
横溝正史先生の『本陣殺人事件』に少し通じるものがありますね。
かつて『世界推理短編傑作集 3』に収録され(そのときは三死人)、
拙ブログでも取り上げていますが、そのときはハウダニットに焦点を当てたと
評していますね・・。昔過ぎて覚えてない。
海外の古典的傑作は、東京創元社様と早川書房様、そして国書刊行会様などが
復刊してくれてますが、やはり文庫が読みやすい。
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