「知ってるぞ、お前がヨリコを殺したんだ!」二年前、不可解な死を遂げた沢之内より子が、
架空日本で女忍者が跋扈する荒唐無稽な小説『三重露出』に現れた。これは手のこんだ告発か?
彼女に翻弄された9人の中に真犯人がいる……。
軽妙な作中作+本格ミステリのトリッキーな二重構造。
伝説の超メタ推理小説、マーベル作家・桃桃子(ピーチモモコ)とのコラボカバーで復活!
異色中の異色作というべきか、都筑先生渾身の意欲作というべきか。
日本在住の忍者かぶれのアメリカ人のライアンが、日本の女性ニンジャ集団を
向こうに回して、数々の不可能忍術を破りながら戦う、作中作『三重露出』。
一方、滝口正雄を主人公とする現実パートは、
一人の女性・沢之内より子の死を巡る真相に迫る本格ミステリ。
彼女は本当に自殺だったのか?
とにかくナンセンスニンジャ小説がめちゃめちゃ面白いです。
エログロナンセンス(というかグロはほとんどない)、B級アクション的な楽しさです。
これだけでも充分楽しめます。
現実パートは、この『三重露出』に登場する沢之内より子の死の真相に
滝口と箕浦が、当時のより子の取り巻き(自分たちも含めて)たちから話を聞いていく
流れになっています。
ただし、本パートのラストをどう読むのかで、この作品をどう捉えるかは
変わってくると思います。
個別にみるならば、エレベーターでの焼失トリックなどは実に見事ですが、
このラストは難しい。
解説(謎解き?)の中野康太郎さんの『猫の舌に釘を打て』との対比
から導き出される人物こそが犯人なのか?
あるいはラストに妙な手紙を残した箕浦か?
それとも本人が「殺した」と述べた宇佐見か?
都筑先生はどう考えていたのでしょうかねえ。
あるいはリドルストーリーとして終わりにしたかったのか。
それにしても、この時代に非常に斬新なミステリだよなとつくづく思いました。
法月先生の解説にある、トクマの特選第4弾はあるのか!
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