瀕死の妻を救うために約60年前にタイムトラベルした加茂。
妻を救うには彼女の祖先である竜泉家の人々を襲った『死野の惨劇』の真相を解明し、
阻止する必要があるのだという。惨劇が幕を開けた竜泉家の別荘で加茂に立ちはだかるのは、
絵画『キマイラ』に見立てたかのような不可能殺人の数々だった。
果たして竜泉家の一族を呪いから解放できるのか。
今最も注目される本格ミステリの書き手が放つ鮮烈なデビュー作!
第29回鮎川哲也賞受賞作。
確か去年の『このミス』か『本格ミステリ・ベスト10』で
方丈さんの『アミュレット・ホテル』が登場していて、おお、こんな方が居るのかと
その前のシリーズを購入したという経緯です。
SF的要素が強かったからか、避けていたのですが、これがどうして。
家系図に見取り図、そして読者への挑戦と、本格探偵小説、本格ミステリ小説
そのものではないですか。
妻の病を治すには、過去に戻り、彼女の祖先を襲った「死野の惨劇」を阻止する
必要がある。
そのため、主人公は「マイスターホラ」という、いかにも怪しい名前の人物と
砂時計を手にして、過去へタイムトラベルする・・・という設定。
「キマイラ」の絵画とおなじように殺人が起こる中、犯人を突き止められるのか?
SF的な要素は、最後の大仕掛けに使用されていたのが、本作愁眉かなと思います。
誤認トリックなんですが、上手いこと隠しているんですよね。
見立て殺人も中々良いです。
が、リフトのトリックというかあれは上手くいくのかどうかちょっと怪しい。
今ちょうど藤子・F・不二雄先生の『T・Pぼん』も読んでいたりするので、
過去への干渉がどれだけ現在ないし未来に影響を与えるか、というのが
結構気になりました(笑
最後の大団円は、本来的には上記のことからうまくいかないのだけど、
存命者がよく頑張った!といえるでしょう。

時空旅行者の砂時計 〈竜泉家の一族〉シリーズ (創元推理文庫)
- 作者: 方丈 貴恵
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2023/09/28
- メディア: Kindle版
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