バークリーの探偵小説愛がストレートに出た秀作。――法月綸太郎
密室状態の書斎で発見された死体。
拳銃自殺と考えるには何かが不自然で・・・・・・
名探偵ロジャー・シェリンガム初登場!
田舎屋敷レイトン・コートの書斎で、額を撃ち抜かれた主人の死体が発見された。
現場は密室状態で遺書も残されており、警察の見解が自殺に傾くなか、
死体の奇妙な点に注目した作家ロジャー・シェリンガムは殺人説を主張する。
友人アレックを助手として、自信満々で調査に取りかかったが……。
想像力溢れる推理とフェアプレイの実践。英国探偵小説黄金期の巨匠の記念すべき第一作。
序文=アントニイ・バークリー/解説=法月綸太郎
バークリーといえば『毒入りチョコレート事件』が超有名で、多重解決の嚆矢
といっても過言ではありません。
と言いつつも、私は初めてバークリー作品を読むんですが。
とにかくホームズ&ワトソンがそこかしこに登場します。
シェリンガム=ホームズとアレック・ワトソンとしてですが。
執筆された時代を感じます。
シェリンガム、とにかく数々の推理を試みます。
まあ、途中のプリンス事件はかなり面白いのですが、これ、シェリンガムたちを
騙そうとしていたわけではないんだろうと思いますが、これは騙されますなあ。
途中いきなり競馬の1着・2着という記載が出てきて、笑いました。
彼はしゃべりながら思考しつつ、そして正解の推理を辿っていくタイプなのかも。
解説を書かれた法月綸太郎先生のシリーズ探偵・法月綸太郎にかなり近い。
先生も参考にされたんでしょうか。
アレックとの何気ない会話の中に、非常に重要な意味合いがあるというのが
これはもうネタバレなのですが、実に巧妙で上手い。
最初の約束が、最終版の最後の一撃に似た驚きを与えてくれます。
すでに『最上階の殺人』も購入済みなので、こちらも楽しみです。
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