誰も知らなかった湯川(ガリレオ)の秘密
南房総沖に、男の銃殺死体が浮かんだ。同時に、男の行方不明者届を出していた
同居人の女が行方をくらませた。捜査にあたった草薙と内海薫はその過程で、
思いがけず湯川学の名前に行きつく。草薙はすぐさま湯川の元を訪れたが、
彼はそこ、横須賀のマンションで意外な生活を送っていた――。
巻末に短篇「重命る(かさなる)」を特別収録。
『探偵ガリレオ』文庫版を読んでから、もうずいぶんと時が経ったのだなと
感じました。
解説を佐野史郎さんが書かれていて、それは東野圭吾さんが、湯川学を描く際の
イメージが佐野史郎さんだったから(とおぼろげながら)覚えてます。
(佐野史郎さんの学者というと、「沙粧妙子最後の事件」が強烈です)
いつの間にか草薙も係長(警部)に出世.。湯川も教授。確実に時は流れているのです。
本作はガリレオシリーズの時の流れを感じさせる作品。
初期のいわば湯川の専門分野が事件に関係しているということはありません。
内海や草薙との会話で、過去の事件が度々触れられるのは、うれしくもあり、さびしくもあり。
何かを隠す湯川と、それを詰める草薙。立場変われど、二人の関係も相変わらずです。
明かされる真相は、おおよそ見当がつくものの、本作の主眼はそこにはないのでしょう。
特別収録された「重命る」の方が、よほど初期作品を彷彿とさせますね。
もちろん何かおおがかりな実験したりはないのですが、
被害者はなぜ溺死体で発見されたのか、川に落としたのは誰か、という謎は
かなり魅力的で面白く読めました。
短編集『ガリレオ9』が刊行されることを祈りつつ。
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