この記事がこのブログ1000記事目のようで。
いやいやずいぶん書いてきたなあ・・・
まあ1000記事目だから、何か記念をと思いましたが、
別段思い浮かばなかったので(笑
とは言いつつ、やはりブログ原点に立ち返り、
本格ミステリを。
まあ記念的なものは追々あれば(笑
まずはAmazonさんの紹介ページから。
その邸はふたつの長い棟が卍形に組み合っていた。
住人も建物同様にふたつの家族に分かれて、微妙な関係を保つ。
亮子はこの邸を恋人の安東と共に訪れた。
安東はここに住む従妹との結婚を断わり独立を宣告するという。
だが第一夜に早くも惨劇が起きた。続いてまた事件が。
旧家はなぜ呪われているのか。
衝撃が続く展開、意外な結末が読者を魅了する本格推理。
著者のデビュー作品。
今邑さんの著作は再刊もされていて、
入手しやすくなっていますが、
以前書いた「金雀枝荘の殺人」やデビュー作の
本書は文庫版は古本でしか入手できません。
これは本当に残念な事です。
さて以下若干のネタバレが入ります。
本作のトリックは、本格好きの方なら、
大方予想がつくのではなかろうかと思います。
後、犯人も。
海外のとある作家さんのあの作品を思い出しました。
でも探偵は意外だったなあ。
この人、話だけでよく見抜いたものだと感心。
本書は「金雀枝荘」と同様、血筋の問題が
取り上げられています。
でも実際のところ、犯人の頭の良さは
この血筋やら養子やらを逆手に取った事ですかねえ。
旧家のおどろおどろしい話や今も続く見栄の争い。
そしてそれを競わせる絶対的な老婦人。
でも現実、そんな老婦人も事件が起こるたびに
どんどん衰弱化していき、ただの老婆に。
これをある程度予想していたのは
犯人の頭の良さでしょうな。
オーソドックスな本格ミステリ。
楽しめました。
2011年08月28日
2010年11月26日
七人の中にいる
ペンション「春風」のオーナー村上昌子は21年前、
亡くなった夫・洋一と悪友・肇の三人で自らの出産費用のため、
葛西という医者一家の家に泥棒に入った。
本来なら、クリスマス・イヴの今日、家には誰もいないはずで
すんなりと手に入るはずだった。
しかし・・・
肇による凶行で一家を惨殺するという犯罪を犯してしまう。
それから21年後、「春風」に医者一家殺人事件の復讐予告が届く。
本作は今邑さんがあとがきで書かれていますが、「サスペンス」とのこと。
当事者の立場に立たされた昌子を自分自身に置き換えれば、
その恐怖と不安・焦りは鬼気迫るものですね。
さて本作はやはりいわゆる「犯人当て」ではなく、
ずっと家族同前と思ってきた「春風」なじみの客。
彼らの中に恐ろしい復讐鬼が居るというこの疑心暗鬼と、
実は彼ら常連客も昌子の知られざる一面が
秘められていたという、この順を追って明らかになっていく
彼らの「秘密」、それが非常によく書けていて、おもしろく読めました。
一方、元刑事である佐竹が彼らの調査をするわけですが、
彼自身も、最後の最後に秘めたる思いを吐露しそうになる、
これもなぜ彼が調査をこれほどまでに丹念にしたかの
理由として見事でした。
犯人そのものは案外早くわかるんじゃないかなあと(苦笑
しかし、犯人と昌子のやりとりはまた一読の価値あり。
まあこれは当事者同士でなければわからないことでしょうが。
さて次の今邑作品はどうしようかと悩んでいるところです。
何がいいかな・・・
亡くなった夫・洋一と悪友・肇の三人で自らの出産費用のため、
葛西という医者一家の家に泥棒に入った。
本来なら、クリスマス・イヴの今日、家には誰もいないはずで
すんなりと手に入るはずだった。
しかし・・・
肇による凶行で一家を惨殺するという犯罪を犯してしまう。
それから21年後、「春風」に医者一家殺人事件の復讐予告が届く。
本作は今邑さんがあとがきで書かれていますが、「サスペンス」とのこと。
当事者の立場に立たされた昌子を自分自身に置き換えれば、
その恐怖と不安・焦りは鬼気迫るものですね。
さて本作はやはりいわゆる「犯人当て」ではなく、
ずっと家族同前と思ってきた「春風」なじみの客。
彼らの中に恐ろしい復讐鬼が居るというこの疑心暗鬼と、
実は彼ら常連客も昌子の知られざる一面が
秘められていたという、この順を追って明らかになっていく
彼らの「秘密」、それが非常によく書けていて、おもしろく読めました。
一方、元刑事である佐竹が彼らの調査をするわけですが、
彼自身も、最後の最後に秘めたる思いを吐露しそうになる、
これもなぜ彼が調査をこれほどまでに丹念にしたかの
理由として見事でした。
犯人そのものは案外早くわかるんじゃないかなあと(苦笑
しかし、犯人と昌子のやりとりはまた一読の価値あり。
まあこれは当事者同士でなければわからないことでしょうが。
さて次の今邑作品はどうしようかと悩んでいるところです。
何がいいかな・・・
2010年11月03日
金雀枝荘の殺人
まずはAmazon様の紹介ページから。
完璧に封印された館で発見された、不条理極まる6人の死。事件から1年近くが経ち、
警察も見放した謎を解明すべく新たな6人の男女が「呪われた館」を訪れる。
過去にも多くの血を吸った館でまたしても繰り広げられる惨劇。
そして戦慄の真相とは…?息もつかせぬ、恐怖と幻想の本格ミステリー。
綾辻・有栖川復刊コレクションにて講談社ノベルスで
再発売を果たした本書、
文庫版は1996年、元のノベルスは1993年発売となっています。
僕個人の事情から(笑)どうしても文庫版がほしくて、
古本にて入手。
ちなみに今邑さんの著作は初です。
近年中公文庫から多くの作品が復刊とでも言うべきなのか、
発売されてますよね。
で、それを読む前にどれを読もうかと考えていて、
この作品に巡り逢ったわけです。
中里辰夫が本作では探偵役を勤めるのですが、
これが異常に島田潔に見えて仕方がない(笑
さて本作の魅力は誰が犯人なのか?
つまりフーダニットではありません。
最大の魅力はホワイダニット、なぜ殺したのか?
にあると思います。
(あとプラスしてハウダニットかな。)
なぜ犯人はこれほどまでの殺人を繰り返したのか?
その動機はどこにあったのか?
最後の最後に、
その謎は推理、ではありますが、解明されます。
しかし、しかしですね、
犯人自身も知らなかったある事実が推理を語る
人物から話されるのですが、
これがまた見事なんですよねえ。
なぜ田宮弥三郎がひ孫の類の時に、
急に発作を起こし、突然亡くなったのか?
この謎の解明も非常に鮮やかと言うか、
上記動機との関わりで実によかったと思います。
ちょっと残念だったのは、
茉里杏奴やその子どもたち。
つまり主人公たちからすれば祖母と父母らの
境遇とでもいうか(これは特に茉里杏奴に言えますが)
そうしたものを描いてほしかったですねえ。
直接的には弥三郎の子どもである茉里杏奴が
一番つらい立場ではなかったかと思いますし、
彼女が事件をどう考えていたのかも興味ありますし。
さてこの後も今邑さんの作品をちょこちょこと
読んでいきますよ~

完璧に封印された館で発見された、不条理極まる6人の死。事件から1年近くが経ち、
警察も見放した謎を解明すべく新たな6人の男女が「呪われた館」を訪れる。
過去にも多くの血を吸った館でまたしても繰り広げられる惨劇。
そして戦慄の真相とは…?息もつかせぬ、恐怖と幻想の本格ミステリー。
綾辻・有栖川復刊コレクションにて講談社ノベルスで
再発売を果たした本書、
文庫版は1996年、元のノベルスは1993年発売となっています。
僕個人の事情から(笑)どうしても文庫版がほしくて、
古本にて入手。
ちなみに今邑さんの著作は初です。
近年中公文庫から多くの作品が復刊とでも言うべきなのか、
発売されてますよね。
で、それを読む前にどれを読もうかと考えていて、
この作品に巡り逢ったわけです。
中里辰夫が本作では探偵役を勤めるのですが、
これが異常に島田潔に見えて仕方がない(笑
さて本作の魅力は誰が犯人なのか?
つまりフーダニットではありません。
最大の魅力はホワイダニット、なぜ殺したのか?
にあると思います。
(あとプラスしてハウダニットかな。)
なぜ犯人はこれほどまでの殺人を繰り返したのか?
その動機はどこにあったのか?
最後の最後に、
その謎は推理、ではありますが、解明されます。
しかし、しかしですね、
犯人自身も知らなかったある事実が推理を語る
人物から話されるのですが、
これがまた見事なんですよねえ。
なぜ田宮弥三郎がひ孫の類の時に、
急に発作を起こし、突然亡くなったのか?
この謎の解明も非常に鮮やかと言うか、
上記動機との関わりで実によかったと思います。
ちょっと残念だったのは、
茉里杏奴やその子どもたち。
つまり主人公たちからすれば祖母と父母らの
境遇とでもいうか(これは特に茉里杏奴に言えますが)
そうしたものを描いてほしかったですねえ。
直接的には弥三郎の子どもである茉里杏奴が
一番つらい立場ではなかったかと思いますし、
彼女が事件をどう考えていたのかも興味ありますし。
さてこの後も今邑さんの作品をちょこちょこと
読んでいきますよ~

金雀枝荘の殺人 綾辻・有栖川 復刊セレクション (講談社ノベルス)
- 作者: 今邑 彩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/11/07
- メディア: 新書