地下鉄の”ある事件”を機に母性が暴走する
蜂須賀恵理子は、悲嘆に暮れている。自慢の息子が痴漢行為を咎められ、
逃げようとして地下鉄に轢かれ、死んだのだ。冤罪だと信じる恵理子は、
亡き息子のSNSにのめり込み、事件の真相を探ろうと奔走する。
夏川美夏は、激怒している。高校生の娘が電車内で痴漢を捕まえたが、
被害には長い間遭っていたというのだ。美しい娘には芸能界で活躍してほしい。
週刊誌記者に身辺を嗅ぎ回られ、美夏は苛立つ。
高奈琴絵は、幸せの絶頂から突き落とされる。不妊治療の末、
ようやく待望の子供を妊娠した矢先、夫が痴漢をして逮捕されたのだ。
琴絵を責める義母に、逆ギレする夫。離婚がちらつくが、一人で子供を育てる自信がなく
琴絵は途方に暮れる。
地下鉄で起きたある事件を発端に、歪み、崩壊していく三つの家族。
そして、新たな悲劇が起こる――
暴走する母性の先に衝撃の結末が待ち受ける、ドメスティック・スリラーの新たなる傑作!
このタイトルと、このリード文から、一体どういう事件が起こるのか、
正直なところ、まるで想像が付きませんでした。
蜂須賀恵理子の暴走がメインに話が進むのかと思ってましたが、そうはならず、
特に第1部と第2部で、物語がずいぶんガラリと変化しますね。
夏川紗季が自殺したかと思われましたが、これが殺人だとわかり、
物語は一気に殺人事件の犯人捜しへ。
高奈琴絵が主人公なんだなとこの辺りから思い始めますが、
この殺人事件の真相はそこまで意外ではなく、
また、蜂須賀恵理子のSNSを使った行動も、最後に自業自得になり・・・
やはりラストの、夏川美夏と「週間茶話」の編集者・槙野泉美との会話が圧巻。
ここで、本当の本書の主人公が美夏だったんだと。
槙野の本当の目的も、実は別の所にあったというのも、流石の一言。
それにしても、高奈篤志は屑だな。
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