行者に祟られ、座敷童子に守られているという古い屋敷に、
後継者選びのため親族一同が集められた。
この家では子どもは生まれても育たないという。
夕食時、後継ぎの資格をもつ者のお膳に毒が入れられる。
夜中に響く読経、子らを沼に誘う人魂。
相次ぐ怪異は祟りか因縁かそれとも──。
小野不由美の隠れた名作。
「ミステリーランド」第1回配本。超がつくほど、20数年ぶりの文庫化。
解説の大矢博子さんが言うように、確かに本書は「ミステリーランド」レーベルに
相応しい作品です。
かつて自分もジュブナイルを数多く読んでましたが、今はどのくらい刊行されて
いるんですかねえ。青い鳥文庫とかポプラ文庫とか、子ども向けミステリも
刊行されてるとは思いますが。
ジュブナイル版のホームズやポワロを数多く読みました。それが今のミステリ好き
に繋がっている気がします。
さて、本書は最初からクライマックスという感じで、「四人ゲーム」をした
子どもたち。いつの間にか4人から5人へ増えていた・・・
座敷童子?この淵屋家にいる神様「くらのかみ」なのか。
子どもが5人に増えたこと、大人達がそれに気付かないこと、これらは怪異として
読者にはその謎を解くことは難しい。
しかし、その後起こる「事件」は、本格ミステリばりに子どもたちが活躍します。
アリバイがない人物、時系列に書かれるノート、罠を仕掛ける・・・
とにかく子どもたちが大人顔負けの行動力と推理力を発揮します。
事件の真相は、子どもが増えたことと密接に関係していて、
そもそも、最後に座敷童子が言った言葉はどういう意味だったのか、
読む人によって、ラストはかなりあっさりと思うかもしれませんが、
あくまでジュブナイル(を主な対象)で考えれば、非常に良く出来ています。
イッキ読してしまいました。こういう作品、増えて欲しいですね。
![くらのかみ (講談社文庫) [ 小野 不由美 ] くらのかみ (講談社文庫) [ 小野 不由美 ]](https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/book/cabinet/5350/9784065355350_1_3.jpg?_ex=128x128)
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