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第75回日本推理作家協会賞〈短編部門〉受賞!精緻でビターな連作短編集
私立探偵として活動するみどり。“人の本性を暴かずにはいられない”彼女は、
いくつもの事件と対峙する――。第75回日本推理作家協会賞〈短編部門〉受賞!
精緻でビターなミステリ連作短編集。
初めて読む作家さんです。
見事な連作短編集になっています。すでに続編も刊行されました。
個人的なオススメは「ゴーストの雫」。
榊原みどり、から、森田みどり、へ結婚して復職して、
自身の父親がしていた探偵事務所に入所し、本当に探偵となったみどり。
リベンジポルノをうけたという女性の兄からの依頼。
みどりと須見要は、その犯人をみつけようと調査を開始するが・・・
この話、みどりが出身大学を問われるところが結構面白いんですよね、
「私は京都大学ですが・・・」と言われ、困惑する依頼者の家族。
ステレオタイプの考えしかできない方々なんでしょうね。
意外な真相がみえるのが「解錠の音が」。
自転車のワイヤーロックが次々と壊される事件から、みどりが
行き着いた真相は予想だにしないもので、これは凄かった。
ラストも、そこまでするか!というラストです。
日本の探偵がすることではないですね。
「スケーターズ・ワルツ」は、語り手の話す登場人物のトリックはともかく、
その先の、みどりが辿り着いた真相がお見事。
精神的な自傷を繰り返していると評された、土屋尚子は新たな一歩を踏み出せる
ことでしょう。
良質な短編集をお求めの方はぜひ。