2024年11月17日

五つの季節に探偵は

まずはAmazonさんの紹介ページから。

第75回日本推理作家協会賞〈短編部門〉受賞!精緻でビターな連作短編集

私立探偵として活動するみどり。“人の本性を暴かずにはいられない”彼女は、
いくつもの事件と対峙する――。第75回日本推理作家協会賞〈短編部門〉受賞!
精緻でビターなミステリ連作短編集。

初めて読む作家さんです。
見事な連作短編集になっています。すでに続編も刊行されました。

個人的なオススメは「ゴーストの雫」。
榊原みどり、から、森田みどり、へ結婚して復職して、
自身の父親がしていた探偵事務所に入所し、本当に探偵となったみどり。
リベンジポルノをうけたという女性の兄からの依頼。
みどりと須見要は、その犯人をみつけようと調査を開始するが・・・

この話、みどりが出身大学を問われるところが結構面白いんですよね、
「私は京都大学ですが・・・」と言われ、困惑する依頼者の家族。
ステレオタイプの考えしかできない方々なんでしょうね。

意外な真相がみえるのが「解錠の音が」。
自転車のワイヤーロックが次々と壊される事件から、みどりが
行き着いた真相は予想だにしないもので、これは凄かった。
ラストも、そこまでするか!というラストです。
日本の探偵がすることではないですね。

「スケーターズ・ワルツ」は、語り手の話す登場人物のトリックはともかく、
その先の、みどりが辿り着いた真相がお見事。
精神的な自傷を繰り返していると評された、土屋尚子は新たな一歩を踏み出せる
ことでしょう。

良質な短編集をお求めの方はぜひ。



五つの季節に探偵は (角川文庫)

五つの季節に探偵は (角川文庫)

  • 作者: 逸木 裕
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2024/08/23
  • メディア: Kindle版



posted by コースケ at 19:30| Comment(1) | 逸木裕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする