2024年12月14日

ニッポン硬貨の謎―エラリー・クイーン最後の事件

まずはAmazonさんの紹介ページから。

幼児連続殺人事件に挑む、来日中の名探偵エラリー・クイーン。
〈五十円玉二十枚の謎〉との関連は? 敬愛する本格ミステリの巨匠に捧げる、
北村薫の華麗なるパスティーシュ。

有栖川有栖先生の『日本扇の謎』が『このミス』などでもランクインして、
『Zの悲劇』が復刊されと、どうもクイーンが頭をよぎり始めていて、
かつて『競作五十円玉二十枚の謎』は読んだけれど、
(猫丸先輩実質デビュー作?)
真打の作品を読んでいないと思いついて、購入し読んだ作品です。

前半部分を読むと、本当にクイーンが書いたかのような筆致のようで、
素晴らしいと感嘆しました。
『シャム双子の謎』の「読者への挑戦」をめぐる、北村先生なりの≪クイーン論≫。
流石に見事ですが、国名シリーズを全て完読し、しかも繰り返し読んでいないと、
おそらくそこまでの理解はできないでしょう。

私はむしろ『五十円玉二十枚の謎』の北村的な解答の方に興味があったので、
後半の本作での事件メインのパートが気になりました。
言葉遊びと言ってしまえばそれまでなのですが、日米での言葉の意味の違いや、複雑さ。
犯人の動機、理屈ではエラリーの推理に納得するも、理解できた人は居なかったのでは、
というくらい、奇想天外な動機です。
むろん、そうした境地になる悲しい出来事があったのは考慮にいれねばなりませんが。

解説で戸川氏は本書をパスティーシュではなく『偽史』とまで賞賛しますが、
確かにクイーン本人が書いたといわれても、納得してしまう作品です。
EQファンにはたまらない作品ですが、知らない人は楽しめないでしょうね。

私は、これから『Zの悲劇』やライツヴィルの残り2作を読む予定ですが、
ちょっと読み方が変わりそうです。


ニッポン硬貨の謎 エラリー・クイーン最後の事件 (創元推理文庫 (Mき3-6))

ニッポン硬貨の謎 エラリー・クイーン最後の事件 (創元推理文庫 (Mき3-6))

  • 作者: 北村 薫
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2009/04/20
  • メディア: 文庫



posted by コースケ at 18:16| Comment(0) | 北村薫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする