2024年11月23日

孤島の来訪者

まずはAmazonさんの紹介ページから。

論理を武器に道を開くことの力強さが、
方丈作品には備わっている。若林踏(解説より)

復讐を企てる竜泉佑樹の前に現れる、標的の死体――
孤島で起こる人智を超えた不可能殺人に
推理で立ち向かう、異形の本格ミステリ。
〈竜泉家の一族〉三部作 第二弾

謀殺された幼馴染みの復讐のため、テレビ局のADとなった竜泉佑樹。
ターゲットの3名を含む9名で曰くつき無人島のロケに参加した佑樹だったが、
初日からターゲットの一人が殺されているのを発見する。自らが手を下すはずが、
一体何者の仕業なのか? しかも、その犯行には人ではない何かが絡み、
佑樹たちの中に紛れ込んでしまった!? 疑心暗鬼の中、またしても佑樹のターゲットが殺害され……。『時空旅行者の砂時計』で話題を浚った著者が贈る〈竜泉家の一族〉三部作第二弾、
予測不能な孤島本格ミステリ長編。

以下、ややネタバレあり。




竜泉寺家の一族シリーズ第2弾。
名前だけではありますが、前作主人公・加茂冬馬も登場します。
で、この加茂冬馬の書いたルポが、幽世島で起きた不可思議な出来事を
ある意味言い当てていたというのが、終盤で真犯人から少し触れられるのが嬉しいです(笑


本作は特殊設定ミステリ+吹雪の山荘ものになっています。
最も、特殊設定自体は、かなり早い段階で、本作主人公の竜泉佑樹がその特徴を看破
していくので、そこまで違和感はありません。
むしろ、この設定の上で、ここまでの館ミステリを創り上げた作者に敬意を表します。

私が特に秀逸だと感じたのは、小火を起こしてからの、焼死体のトリックです。
これは遺体を誤認させるトリックなのですが、登場人物が指摘しているとおり、
実人数との関係では、最初の推理に行き着くのは当然の帰結なのですが、
犯人のある特性を知った後では、大きく変わることになります。
また、個人的には「首の無い死体」の亜種バージョンでもあるのでは?と思いました。
遺体の処理が一番大変なのだというのが、かつて『金田一少年の事件簿』で語られた
ことがありますが、本作の遺体誤認トリックは、(その前の誤認含め)
遺体が誰なのか、だけで無く、その数含め、来訪者達を混乱させており、
本作の核ともいうべきトリックだと思います。

最後の船での会話は、さらなるあとがき、的な感じで、それはそれで楽しめました。
しかし、生き残った人たちは口裏合わせをしたようですが、果たして上手くいくのか(笑

いよいよ、次が竜泉寺一族ラストとなります。


孤島の来訪者 〈竜泉家の一族〉シリーズ (創元推理文庫)

孤島の来訪者 〈竜泉家の一族〉シリーズ (創元推理文庫)

  • 作者: 方丈 貴恵
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2024/01/11
  • メディア: Kindle版



【関連する記事】
posted by コースケ at 23:44| Comment(1) | 方丈貴恵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年11月17日

五つの季節に探偵は

まずはAmazonさんの紹介ページから。

第75回日本推理作家協会賞〈短編部門〉受賞!精緻でビターな連作短編集

私立探偵として活動するみどり。“人の本性を暴かずにはいられない”彼女は、
いくつもの事件と対峙する――。第75回日本推理作家協会賞〈短編部門〉受賞!
精緻でビターなミステリ連作短編集。

初めて読む作家さんです。
見事な連作短編集になっています。すでに続編も刊行されました。

個人的なオススメは「ゴーストの雫」。
榊原みどり、から、森田みどり、へ結婚して復職して、
自身の父親がしていた探偵事務所に入所し、本当に探偵となったみどり。
リベンジポルノをうけたという女性の兄からの依頼。
みどりと須見要は、その犯人をみつけようと調査を開始するが・・・

この話、みどりが出身大学を問われるところが結構面白いんですよね、
「私は京都大学ですが・・・」と言われ、困惑する依頼者の家族。
ステレオタイプの考えしかできない方々なんでしょうね。

意外な真相がみえるのが「解錠の音が」。
自転車のワイヤーロックが次々と壊される事件から、みどりが
行き着いた真相は予想だにしないもので、これは凄かった。
ラストも、そこまでするか!というラストです。
日本の探偵がすることではないですね。

「スケーターズ・ワルツ」は、語り手の話す登場人物のトリックはともかく、
その先の、みどりが辿り着いた真相がお見事。
精神的な自傷を繰り返していると評された、土屋尚子は新たな一歩を踏み出せる
ことでしょう。

良質な短編集をお求めの方はぜひ。



五つの季節に探偵は (角川文庫)

五つの季節に探偵は (角川文庫)

  • 作者: 逸木 裕
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2024/08/23
  • メディア: Kindle版



posted by コースケ at 19:30| Comment(1) | 逸木裕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年11月09日

眠れない町

まずはAmazonさんの紹介ページから。

眠りたいのに――。〈睡眠〉に仕掛けられた恐るべき陰謀とは? 
迫真のサスペンス・ミステリー! 
郊外のマンモス団地に住むフリーライター兼編集者の矢吹徹治。
徹夜仕事が日常の多忙な毎日を送っている。矢吹はある朝、近所に住む会社員・城山が
駅で急死する場に立ち会ってしまう。城山は、極度の不眠症に悩んでいたらしい。
それを発端に矢吹の周囲で不可解な事件が続発する。平凡な町に何が起こっているのか? 
〈睡眠〉に仕掛けられた恐るべき陰謀とは!?

いくらでも拡げられそうなテーマ&連作短編に向いているところを、
さらりと長編にしてしまうのが、赤川次郎先生ならではかもしれません。

本書も非常に不思議な始まりで、一連の事象がどう繋がるのか、とても面白く
読めるのですが・・・
結末がねえ、まあ悪く言えば安易で、よく言えば赤川先生らしい落としどころ。

矢吹夫妻の人のよさは素晴らしいし、相変わらず人物描写は面白い。
それだけに、「眠れない」をテーマにした、短編集ないし連作短編集の方が
面白かったように思えます。

ところで、本書は元々徳間文庫刊行で、今回講談社文庫から発売。
いつもと逆パターンです。


posted by コースケ at 21:27| Comment(1) | 赤川次郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年11月03日

透明な螺旋

まずはAmazonさんの紹介ページから。

誰も知らなかった湯川(ガリレオ)の秘密

南房総沖に、男の銃殺死体が浮かんだ。同時に、男の行方不明者届を出していた
同居人の女が行方をくらませた。捜査にあたった草薙と内海薫はその過程で、
思いがけず湯川学の名前に行きつく。草薙はすぐさま湯川の元を訪れたが、
彼はそこ、横須賀のマンションで意外な生活を送っていた――。
巻末に短篇「重命る(かさなる)」を特別収録。


『探偵ガリレオ』文庫版を読んでから、もうずいぶんと時が経ったのだなと
感じました。
解説を佐野史郎さんが書かれていて、それは東野圭吾さんが、湯川学を描く際の
イメージが佐野史郎さんだったから(とおぼろげながら)覚えてます。
(佐野史郎さんの学者というと、「沙粧妙子最後の事件」が強烈です)

いつの間にか草薙も係長(警部)に出世.。湯川も教授。確実に時は流れているのです。
本作はガリレオシリーズの時の流れを感じさせる作品。
初期のいわば湯川の専門分野が事件に関係しているということはありません。
内海や草薙との会話で、過去の事件が度々触れられるのは、うれしくもあり、さびしくもあり。

何かを隠す湯川と、それを詰める草薙。立場変われど、二人の関係も相変わらずです。
明かされる真相は、おおよそ見当がつくものの、本作の主眼はそこにはないのでしょう。

特別収録された「重命る」の方が、よほど初期作品を彷彿とさせますね。
もちろん何かおおがかりな実験したりはないのですが、
被害者はなぜ溺死体で発見されたのか、川に落としたのは誰か、という謎は
かなり魅力的で面白く読めました。
短編集『ガリレオ9』が刊行されることを祈りつつ。


透明な螺旋 (文春文庫 ひ 13-14)

透明な螺旋 (文春文庫 ひ 13-14)

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2024/09/04
  • メディア: 文庫



posted by コースケ at 23:03| Comment(1) | 東野圭吾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年11月01日

俺ではない炎上

まずはAmazonさんの紹介ページから。

外回り中の営業部長・山縣泰介に緊急の電話が入った。「とにかくすぐ戻れ!」
どうやら泰介が「女子大生殺害犯」であるとされて、すでに実名、
写真付きでネットに素性が晒され、大炎上しているらしい。
SNSで犯行を自慢していたそうだが、そのアカウントが誤認されてしまったようだ。
誤解はすぐに解けるだろうと楽観視していた泰介だが、
成りすましは実に巧妙で誰一人として無実を信じてくれない。
会社も、友人も、家族でさえも……。
ほんの数時間にして日本中の人間が敵になり、
誰も彼もに追いかけられる中、泰介は必死の逃亡を続ける。

またまた久しぶりの更新です。

本作、まさに現代社会を見事に表現した、社会派小説といって
いいと思います。
SNSにより、誰もがいつでもどこでも、様々な情報に触れることができ、
また発信することができ、そして気付かないうちに犯罪にも巻き込まれる。
そんなことはあり得ないとは、もはや言えない世の中なのです。

山縣泰介を襲った悲劇は、誰にでも起こりうる日常に、今やなっているのだと、
改めて本書を読んで感じました。

インターネット普及の始まりからADSLくらいの頃には
ネットリテラシーなんて言葉もありました。
しかし、SNS、スマホの登場で、もはや歯止めが効く状況ではなくなったんでしょうね。
いやはや恐ろしい。

本書でも一気にSNSが拡散する描写、私人逮捕系Youtuber、さらには
泰介自身が知らなかった(というより無意識にしていた)自分の行い、
さらにはそれを通じた家族との接し方等々、様々なものが、ほんの数日(2日間くらい?)
で一気に起こります。

泰介パートの話は、特に逃亡劇が始まってからは、映画「逃亡者」を
思い出しました。私人逮捕系Youtuberからの逃亡は実にお見事。
ショールームまでの逃亡劇はとにかく見逃せ、いやいや読み逃せません。

最初に登場するシーケンの青江さん、この人は鋭い!
書き込みの癖から、泰介が犯人で無いと信じ、車まで貸すという。
泰介が彼にしてきた事を抜きに、まだこういう人も居るんだと、少し安心
させてくれる場面でもあります。

で、本書にはある叙述トリックが仕掛けられています。
「からにえなくさ」、セザキタクヤ、一体誰が、泰介の名前でアカウントを作成し、
殺人現場をアップしているのか?

個人的に一番のツボは、泰介の容疑が晴れて、会社へ出勤したとき。
20代の若手たちの言葉。
「山縣部長が移動された距離、今朝のニュースで報じられてました。びっくりしました。
どこか気合いや根性という言葉を馬鹿にしていた自分が今では恥ずかしいです。本当に
凄い人(後略)」

これ、前時代的な泰介の態度を、今回の逃げた距離(逃げ方含めてかも)で、
本人は本当に凄い人なんだと、思い直した場面なんですが、
泰介からみて、これが褒められているとは捉えられんだろう(笑)
客観的にみても、警察とかの目をかいくぐって、そんな逃げたの!?
あの人本当にスゲー!、という風にしか読めませんでした(笑)

ある意味、あれだけの冤罪・炎上に巻き込まれるより、逃げた距離で
見直すという、今の若者の、何というか、そこに感心?というのを描いたのかと、
ある種の風刺なんではないかと思いました。

当然ながらこの時の泰介は、自分のこれまでの行いを恥じているので、
この言葉なんて耳には入ってこずでしたが、いやいや、何言っているんだと。

ネット上の手のひら返しはともかく、リアルな人間関係の人たちの手のひら返しは
どう感じるんだろうかと、この時の泰介にはそんなことはもう関係ないんでしょうが、
実際どう思ったんだろうな・・・。

現代社会の抱える問題に見事に切り込みつつ、しっかり本格ミステリでもある作品。
流石です。


俺ではない炎上

俺ではない炎上

  • 作者: 浅倉秋成
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2022/05/19
  • メディア: Kindle版



posted by コースケ at 00:38| Comment(1) | 浅倉秋成 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年10月20日

神隠し三人娘 怪異名所巡り

まずはAmazonさんの紹介ページから。

“霊感バスガイド”が大活躍の新シリーズ!
弱小〈すずめバス〉のバスガイドとして就職した町田藍。
霊感体質の彼女が〈怪奇ツアー〉を担当したところ、見事幽霊に遭遇して…!?
TVドラマ化もされた人気シリーズ第1弾!(解説・細谷正充)

いやいや、ついにこのシリーズも購入してしまいました。
現在も続くシリーズ、というのもありますが、
私が一番好きな大貫警部シリーズが現在新作の執筆がなさそうなので、
(シリーズ終了なのかもなあ。)
別のをと思い購入。

確かにその筋の人たちからは、確実に収入が得られるし、鉄板の企画ですね。
なんせ確実に幽霊に遭遇するわけですから。

表題作はなんといっても「その漬け物屋に突っ込んで」という、
要するに観光バスをわざと店舗に突っ込ませるという、中々最初にして、
とんでもないことしでかします。
結果的には、生きている少女も、神隠し三人娘も助かって良かったのですが。
筒見社長はそれを盾に、賠償しないだろうな(笑

「怪獣たちの眠る場所」はかなり異色作。ウルトラマンの怪獣墓場かと思わせる面もあり、
また、途中で語られる玉井の苦悩は、ウルトラセブン「ノンマルトの使者」を
思い起こさせ、さらには、解説で書かれているように、現実社会への警鐘とも
捉えられます。
この話は非常に不思議で、幽霊が現れるのは、自身の奥さんへの別れよりも、
自身の教え子へ、その誤りを正して欲しいという願いからなのか。
いやいや深い話です。

しかし最初からクライマックスというか、すでに<霊感バスガイド>が方々に
知られてしまっている町田藍。この後どんなバスツアーが彼女を待っているのか、
非常に楽しみです。



神隠し三人娘 怪異名所巡り (集英社文庫)

神隠し三人娘 怪異名所巡り (集英社文庫)

  • 作者: 赤川次郎
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2014/02/27
  • メディア: Kindle版



posted by コースケ at 22:58| Comment(1) | 赤川次郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年10月13日

最上階の殺人

まずはAmazonさんの紹介ページから。

私は本書を通じて、バークリーの
魅力に開眼したのです。――阿津川辰海
名探偵vs.警察捜査、火花散る推理合戦!
謎解きの魅力ほとばしる著者屈指の傑作。

閑静な住宅街、四階建てフラットの最上階で女性の絞殺死体が発見された。
現場の状況から警察は物盗りの犯行と断定し、容疑者を絞り込んでいく。
一方、捜査に同行していた小説家ロジャー・シェリンガムは、
事件をフラットの住人の誰かによる巧妙な計画殺人と推理し、
被害者の姪を秘書に雇うと調査に乗り出す! 
心躍る謎解きの先に予測不能の結末が待ち受けるシリーズ屈指の傑作。
エッセイ=真田啓介/解説=阿津川辰海


ややネタバレあり。
解説の阿津川先生のいう、抱腹絶倒の意味は最後まで読むと納得(笑

銀行を信じず、それでいて金を家に貯めていたという噂のある、
高齢女性が殺害された。警察はその手口から、名のある窃盗犯に狙いを定めるが、
その場にたまたま居合わせた(現場へ行くことになった)ロジャー・シェリンガムは、
この事件はそんな単純なものではないのではないかと、推理を巡らせ・・・

という始まりです。
とにかく、シェリンガムは「間違える」名探偵なのでしょう。
以前に読んだ『レイトン・コートの謎』もそうでした。
しかも、本作に限ると、最後の最後で重大な誤りを犯してしまい、
それをなんとか取り繕うためにヤードの総監補まで上手いこと利用してしまうのですから。
取り繕うのも流石です(笑

彼がいきなり、被害者の姪であるステラ・バーネットを自らの秘書にしてから、
彼女との本気なのか冗談なのか、とにかく二人のやりとりが面白すぎます。
洋服店での彼女の変貌ぶりには大注目でしょう。

素晴らしい美女なのに、まったく魅力を感じないとしつこく言うロジャー。
その割に、最後の最後で、僕と結婚しない?なんてセリフを!
ステラから「まさか」と答えられ、「やれやれ、助かった」と答えるロジャー。
ここで終幕。
どこまで本気で冗談なのか、本当にわかりませんでした(笑

わからないのは、ステラが婚約者に仕立てた幼馴染のラルフも同様。
彼はヤバい。今でも十分通じるヤバさです(笑)
あれが演技なのか、そう演技をしてくれと頼まれたのか、それすら
全くヒントすらなく、わからないありさま。
ここも良いんですよ。『レイトン』の競馬の描写のよう。

肝心の事件ですが、シェリンガムの推理は大体においてはかなり正確で、
特に未解決の謎を箇条書きで書き出したり、変装までしてモンマス・マンションに
聞き込みに行ったり、とにかくヤードやモーズビー首席警部の見ている先が
誤っているのだと、ある意味猪突猛進に進みます。

死亡推定時刻のトリックというか、これが大きな間違いであることを
見破る過程は、そのヒントとなる描写も含めて素晴らしいです。
被害者の胃に遺されていたものが、いつ食べられたのか、から
いつ食べられたものなのか、に辿り着く所は、個人的に一番好きかもしれません。

また、死亡推定時刻に目撃された走る男も非常に重要な意味を持っています。

で、上に書いたのは、あくまで最後の方の推理の過程ですが、
シェリンガムはあくまで名のある窃盗犯でなく、マンション内の誰かが犯人であると
疑い、一人ずつ探っていきます。
(この聞き込み等に、上記のステラとの寸劇や変装などが含まれます。)
で、動機は金がとられていることから、そこに目をつけ、上手く絞っていくのです。
ここも見事なのですが、最後の最後がねえ。いや金には違いないけど、
そもそも、シェリンガムのスコットランドヤードやモーズビーとの違いを
出すための、ある種思い込みの招いた結果なのかもしれません(笑

いやはや、単純な事件が実は・・・というのはよくあるかもしれませんが、
本作はそれをさらに超えている、まさに傑作と言って過言ではないですね。





最上階の殺人 (創元推理文庫)

最上階の殺人 (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2024/02/29
  • メディア: 文庫



posted by コースケ at 23:32| Comment(1) | 海外ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年10月07日

未解決事件は終わらせないといけないから

まずは任天堂さんのホームページから。
https://store-jp.nintendo.com/item/software/D70010000083094

「この事件、初めて接したときにすごく驚いた覚えがあります。
 誰もがそれぞれの理由で嘘をついてました。」

『未解決事件は終わらせないといけないから』は、記憶のパズルのピースを探して組み替え、
未解決事件の謎を解く推理ゲームです。
退職した元警察官・清崎蒼をサポートして、陳述と手がかりを集め、
事件の真相を確かめましょう。

2012年2月5日、公園で遊んでいた少女・犀華が行方不明になったという通報があった。
警察は聞き込みと捜索を繰り返すが、事件は解決せずに未解決事件の書類ファイルに眠る。

清崎蒼警部の退職から12年後、ある日訪ねてきた若い警官。
彼女は清崎が解決できなかった「犀華ちゃん行方不明事件」
を終わらせるよう協力を要請してきた。
清崎はバラバラになった記憶のかけらを思い出して再構成するが、
明らかとなったのは犀華の周りの全員が嘘つきだったということだけ。

今年はゲームで私の好きなミステリアドベンチャーが多く発売されていて、
嬉しい限りです。
まさかまさかのファミコン探偵倶楽部の第4作(BS探偵倶楽部を入れてます)である
「ファミコン探偵倶楽部 笑み男」
リマスターとはいえ、「かまいたちの夜」30周年記念作品「かまいたちの夜×3」
先にご紹介した「神無迷路」
全てプレイしました(笑)
「ファミコン探偵倶楽部」は従来のオーソドックスなものですが、
ついに空木探偵が!というのがあって驚きました。

さて、本作はニンテンドーダイレクトで紹介されたときから、購入しようと思っていた作品。
いわゆるテキストアドベンチャーではなく、事件関係者の証言から
事件の真相を明らかにするゲーム。
ゲーム自体は全然は違いますが、ある意味証言の嘘や勘違い、矛盾を突くので、「逆転裁判」と
推理は同じような形式かもしれません。

すでにクリア済みなのですが、それは一気にやってしまったかもあります(笑)
色々な証言が出てきますが、この証言は誰がしたものなのか、証言を引き出す鍵は
どこに隠されているのか、そもそも犯人を名乗り自首した人物がいるのに、
なぜ未解決事件なのか等々、とにかく面白い。とにかく証言をよく読むこと、
これに尽きます。
また、製作者さんによって、ちょっとした叙述トリックが仕込まれてます。
(叙述トリックと言えば良いのか、あまり書くとネタバレになるので)

また、是非とも全ての謎を解き明かしてください。
(意味深ですね。)

こういうタイプのゲーム、もっと増えてほしいですね。
posted by コースケ at 13:20| Comment(1) | ゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年10月06日

赤虫村の怪談

まずはAmazonさんの紹介ページから。

H・P・ラヴクラフト×不可能犯罪
独自の妖怪伝説が継承される赤虫村――
人知を超えた方法で殺されてゆく
村の有力者一族
第17回ミステリーズ!新人賞受賞作家の初長編

愛媛県の山間部にある赤虫村(あかむしむら)には、独自の妖怪伝説が存在する。
暴風を呼ぶ「蓮太(はすた)」、火災を招く「九頭火(くとうか)」、
無貌の「無有(ないある)」、そして古くから伝わる“クトル信仰”。
フィールドワークのために訪れた怪談作家・呻木叫子は、村の名家である中須磨家で続く、
妖怪伝説の禍を再現するかのような不可能状況下での連続殺人を調査することに。
第17回ミステリーズ!新人賞受賞者による初長編。

久しぶりの更新。今年もあと3ヶ月ですか・・・。早いなあ。



まず全面に「クトゥルフ神話」を取り込んでいるのが、最大の特徴ですね。
クトル信仰。苦取る、なるほどなあと感心してしまいました。
ただ、これを知らない人は???となるだろうな。
それを知らないとしても、充分楽しめるようにはなってますが。

赤虫村のこのクトル信仰を利用しての、最初の殺人が非常に見事。
不可能犯罪というようにしか見えないのに、それが神話(忌み地・禁忌)で
見えなかっただけで、密室のようで、実はルートは存在したのです。
ただし、赤虫村の怪異に対する事前準備(お守り)が必要ですが、
それも警察の捜査段階でしっかり触れられています。

石蔵での殺人も密室。しかしここにも1つの盲点が。
なぜ全てにガソリンを巻いて、全焼させる必要があったのか。そこから呻木は
推理を組み立てます。
前作『影踏亭の怪談』もそうですが、密室が多い。そしてしっかり捻られている。

各殺人事件に、赤虫村の怪異を見立てるのですが、本作では実際に怪異が起こるので、
見立てどころか、本当に怪異そのものが登場するのが恐ろしいところ。
犯人も、そこまでは読めなかったでしょうね。

呻木叫子は、あくまで怪談作家として、赤虫村の怪異にのみ興味があるようで、
事件のことはまるで興味がない模様。金剛満瑠から事件の事を連絡されても
どこ吹く風という(笑
それでも最後はしっかり名探偵するのですから、流石ですね。

しかし、肝心の怪異の方は、かつて『赤虫村民族誌』を執筆した庵下讓治の弟子・瀬島攝から
詳しい話も、庵下が遺した資料も魅せて貰えず。
本人としては消化不良でしょう。
しかし、瀬島の危惧が、後に最悪の形で呻木の身に降りかかる・・・早くそれが読みたい!

ところで、本作ではコメディリリーフ的な役割をみせる一面もある鰐口ですが、
彼女がこのシリーズの要でもあるなあと読んでいて思いました。
ある意味呻木の猪突猛進を止めることができるのは、彼女だけだろう。
そしてさらりと解決に導く一言をいう。

前に『影踏亭の怪談』の時に書いたのですが、呻木先生は行方不明になっていて、
編集部も探しているという記載がありましたが、あれは作中内作品の恐怖を煽る一文
だったのかなあ。本作で平然と登場していて、ビックリしました。
作中内の時系列もよくわからないので、何とも言えないのですが。

すでに次作も刊行されていて、いやいや、今一番楽しみな作品になりつつあります。



赤虫村の怪談 (創元推理文庫)

赤虫村の怪談 (創元推理文庫)

  • 作者: 大島 清昭
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2024/05/31
  • メディア: Kindle版



posted by コースケ at 17:35| Comment(0) | 大島清昭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年09月29日

葉山宝石館の惨劇

まずはAmazonさんの紹介ページから。

少年だけが、全てを見ていた……

帆村財閥の異端児・建夫が葉山に設立した私設宝石博物館――収蔵品の剣・銃・斧を使い、
長女・光枝の三人の恋人候補が次々殺されていく。
「なぜ三重密室を作らねばならなかったか?」Why(理由)
を問うユニークな“密室動機講義”から導かれる、
仰天の真相とは? 昭和が終わった年/新本格勃興期、新書ミステリの雄が放った、
稚気と本格推理への愛全開の熱き挑戦状(ラブレター)。

解説 今村昌弘
イラスト やまがみ彩


梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション3として発売された本作。
帯に大陸書房版の著者のことばが掲載されています。
「断っておこう。これは密室それ自体で、読者に挑戦しようというものではない。その背後
 の或ることで、挑戦しようというのだ。もちろん、そのためには、やはり密室を解かなければ
 ならないという、逆説も成り立つのだが・・・。」

結構なネタバレになっているのが面白い(笑
しかも、本作の発売は1989年。『十角館の殺人』刊行が1987年。
つまり、新本格ムーヴメントが始まっていた時で、しかも「館」です。

梶先生が『十角館』を読まれたかわかりませんが、この『葉山宝石館』は
「館」とありながら、非常に良い意味で、『館』ミステリの裏切りをしています。
密室、縛られた足、藁の十字架・・・本格ないし新本格の要素を詰め込みながら、
見事なミスリードを書くとは・・・素晴らしい。

ただし、犯人の正体はある程度予想は付くのではないかと思います。
後、捜査する警察が異常に有能です(笑)

少年の日記を入れているところで、最後にもう1回どんでん返しトリックを
仕込んでいるのも、流石です。

梶先生の作品はまだまだあるのですが、徳間文庫からはひとまず終了なのかなあ。
どうせなら一気に復刊をどうかお願いします。



梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション3 葉山宝石館の惨劇 (徳間文庫)

梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション3 葉山宝石館の惨劇 (徳間文庫)

  • 作者: 梶龍雄
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2023/08/08
  • メディア: 文庫



posted by コースケ at 18:26| Comment(1) | 梶龍雄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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