作曲家を夢みる二十五歳の石井栄志。
コンクールでは落選が続き、家にはピアノもないほど貧しかった。
と、そこに届いた本物のピアノ!
送り主である音楽事務所の片岡が訪ねてきて、
歌謡曲の編曲をして欲しいという。
生活のために引き受けた石井は、
人気歌手・進藤あゆみの曲を手がけることになり……(「ささやくピアノ」)。
人生は音楽と共にある。
哀愁漂うホラーサスペンス六篇を収録。
元々は集英社文庫から刊行されていたようで、その後徳間へ。
発売したばかりですが、一気に読んでしまいました。
いわゆる大団円やハッピーエンドとは違う、どの短編も
深い終わり方になっているというのが一番の感想です。
一番ホラー色が強いのは「シンバルの鳴る夜」
これはかなり怖い。
死んだ少年・純男がシンバルをうつ合図を待つ姿が見えた、
谷岡の恐怖はいかばりか。そしてその演奏が伝説として語り継がれていくという、
これ以上ない皮肉。
「イングリッシュホルンの嘆き」はラストが切なすぎる。
「弦の切れる日」だけが、唯一大団円的に終わるので、読んでいてほっとします。
「幻の鼓笛隊」は相当悲しい物語だけれども、こんな杜撰な工事をさせて
自分の見栄だけを重視するなんて、今でもありそうです。
「ささやくピアノ」は、まあ自業自得な面もあるけれど、
怖さと温かさが同居している作品ですね。
「ハープの影は黄昏に」が一番謎な作品かも。ホラーというより、SF。
彼女は若い時の主人公の母や叔母とともに写真に写っているので、
おそらく過去の亡くなっている女性なのだろうくらいしかわかりません。
なぜハーブを弾いているのか、どうして岐子の前に現れたのか(木戸を救うため?)
時間を戻せるのはなぜか。母や叔母とどういう関係なのか。
意図的にそのあたりを記さなかったのだと思います。
その方がSF的というか、赤川さん的です。しかし気になりました(笑
まだまだ多い未読の赤川次郎作品。これからも徳間文庫さん、お願いします!
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